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王道を走れば:幻想にて
第四章、その3の2:天運重なり
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、希望を抱く。

「・・・チャンス、到来だな。リコ、逃げるぞ」
「ど、どうやってです?ロープを外さないと外に出られませんよ」
「案ずるな、こいつを持っている」

 ユミルは裾から剃刀の刃を取り出した。髭剃り用の小さなものである。

「いつのまにそんなものを?」
「さっき、賊の腰からすったのさ。・・・ちぃっ、なんて切れ味だ。こんなんで髭を剃ったら血だらけになるぞ」

 それぞれのロープを丁寧に、しかし素早く切り取り始める。この一室は一階のかなり奥の方に位置しており、もしかしたら剣戟の波が此方にまで及ばないかもしれない。だからこそそれに頼らなず、自助努力により脱出しなければならなかった。
 一分かそこいらで二人のロープが切り取られたのは、偏にユミルの技のお陰であった。

「よし、行くぞっ」
「はいっ!」

 剃刀を携えてユミルは部屋の戸を開け放つ。剣戟を怯えるように縮こまっていた警備の賊が、ユミルらの姿に瞠目した。

「な、なんだてめぇらっ!?なんで抜け出してーーー」

 賊の首に剃刀が滑り、乱雑に肉肌と動脈を破る。剃刀は更に傷口に深く突き刺さり、ユミルの掌によって男の頸元に埋め込まれた。血流を漏らしながら男は蹲る。

「げぇっ、げほぉっ、けほっ・・・」
「こっちだっ、さっさと逃げるぞ!」
「み、皆は!?あの人は!?」
「後で助けるっ!先ずはお前からだっ!!」

 ユミルはそう言ってリタの手を引っ張り疾走する。修羅場は遠く、二階の部分へと移っているようであった。厨房を駆け抜けて通路の骸骨を跨ぎ、明るい日差しの下へと辿り着くと、聞き慣れた相方の声が聞こえた。

「御主人っ、こっちですっ!!!」
「パウリナっ!!」

 窪地から現れるパウリナ。彼女のみならず三人の兵もそこの待機しているようだ。打ち捨てた弓矢も携えている。ユミルは駆け寄り様、リタを彼女に押し付けた。

「この子を連れてここから離れろっ!俺はケイタクを助けに行く!」
「い、一緒じゃないんですかっ!?」
「奴は賊の棟梁の所へ連れてかれたっ!!!今頃何をされているかーーー」
『おーーーいっ、みんなぁぁぁぁっ!!!』

 降り注いだ声に皆が驚いて上階を見上げる。三階の一室から慧卓が顔を覗かせており、ユミルはその卓越した視力で、彼の頬が腫れているのに気付いた。

「大丈夫かっ、ケイタクっ!!」
『大丈夫ですっ!』
「そこから出れますか!?」
『ちょっと無理そうです!!扉は破れたんですけど、賊が部屋の近くに待機してるようで動こうにも動けません!!!』
「分かった!!少し待っていろ、助けに行く!!」
『頼みますっ、騒ぎがこっちまで近付いて来てるので!出来れば早めに!』

 慧卓はそう言って窓から姿を消す。ユミルは兵の一
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