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王道を走れば:幻想にて
第四章、その3の2:天運重なり
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物であろう戦槌のみであり、当然慧卓が持てる筈は無い。棟梁は優越心を隠さずに言う。

「貴様らの上の連中はもう忘れてるかもしれんがな、昔は我等エルフは貴様等と共同戦線を組んでいたのだぞ?出来の悪い帝国からの木偶共とは違う。人間にしては出来の良い、ヨーゼフ国王とだ」
「エルフにも認められるという事は、とても素晴らしい人物だったんだな」
「当然だっ!我等が名誉を共にした人物だ、素晴らしくない者である筈が無かろう!貴様、愚弄しているのか?」
「いや、その心算は無いんだが」
「ふん、矢張りあの御仁は例外だ。他の人間どもなど、取るに足らん奴等ばかりだ」

 棟梁は更に口調を激しくしていく。

「良いか、あの方は国の変革を望んで旗を掲げられたのだ。つまり我等と同じく、改革を望む志士である事は疑いようが無い!種族こそ違えど団結するのは当然ではないか!だからこその戦争と流血だ!相手がデブのドワーフであれば俄然やる気が出たさ。
 ・・・だがな、今は三十年前とは事情が大分変わってしまった。改革の心は王国には残っていないっ。人間共はそれをとうの昔に捨ててしまった!残った志士は我等、純粋派だけなんだ!・・・少しでも残っていれば、こんな羽目には・・・」

 棟梁の言葉に熱が入るにつれて、慧卓は段々と醒めた目をしていく。まともに聞くのもやけに人がよすぎる事だと思い、暇潰しがてらに棟梁の人物像を分析していく。 

(まとめてみるかな・・・。こいつは改革って言葉が大好きで、ゾッコンで、その上エルフ至上主義。そんでもって今の王国が大嫌いで、改革の精神を持っていれば誰にでも仲間意識を持ちやすいって感じか・・・。
 っていうかこいつ、改革改革とか言ってるけど、まともに考えた事あるのか?なんかノリだけで言ってるように思えるんだけどよ)

 一方的で浅い解釈であるが、しかし目の前の激しき言動を見るだけで、そんな風に簡単にまとめられそうな人物であった。 

「・・・こんな目にあったのも全部っ、全部保守派の所為なんだっ!あいつらがさっさと折れれば、俺はこんな辺鄙な森になど住んでいないっ!!!」
(なにこれ?こんなにいきり立ってさ・・・めんどくさいなぁ)

 耳を突く言葉は大も大、大音量であり、戸を開けていれば建物中に響いてるに違いなかった。棟梁がきっとして激高した瞳を向ける。

「その上更に最悪なのはなっ、人間が俺が建てた城に勝手に入ってきた事だ!」
「え、城?ここ?」
「どう見ても城だろうがっ!!」
「や、屋敷じゃないの?」
「・・・やしきとは、なんだ?」
「・・・いや、なんでもないです。城でいいです」
「ふむ、そうか。ならばその城にだ!人間共が勝手に入ってきたのが非常にむかつくんだよっ!!!」

 棟梁は足元の箒を蹴り付ける。まだ使えそ
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