第四章
[8]前話
「鹿児島から大阪に移り住んでる人がいるから」
「だからか」
「妖怪もついてきてるのよ」
「人間と一緒にか」
「そうだと思うわ、それでね」
夜行さんもというのだ。
「大阪にもいるのよ」
「そういうことか」
「大学だってそうでしょ」
自分が通っていたそして今弟が通っている八条大学の話もした。
「あそこもね」
「ああ、日本中いや世界中の妖怪の話があるよな」
「ガジュマルの木あるけれどキジムナーの話もあるわね」
「キジムナーって沖縄の妖怪だよな」
「ガジュマルの木に住むね」
「沖縄の人もいるしな、大学に」
「高等部にも中等部にもね」
そちらにもというのだ。
「それでガジュマルの木もあるから」
「キジムナーもいるな」
「他の地域の人がその地域に移住すれば」
そうすればというのだ。
「妖怪もね」
「それであの大学にも夜行さんいるし」
「大阪にもか」
「いるのい」
「そういうことか」
「そうよ、じゃあこれからもね」
「大晦日の夜はか」
「あの道は通らない様にね」
「それじゃあな、それでずっと起きていたしな」
それでとだ、拓也は飲みながら言った。
「ちょっと今は」
「寝るのね」
「そうするな」
「それじゃあね。疲れてるから暖かくして寝てね」
寝ると言う弟に優しい声をかけた。
「いいわね」
「風邪ひくか」
「そう、そうしてね」
「それじゃあな、今からな」
「ええ、そうして寝てね」
「それで夜は起きて」
「晩ご飯食べるのね」
「おせちな、じゃあ夕方まで寝るから」
「その時に起こすわね」
二人でおとそを飲みながら話した、夜行さんが本当に大阪にもいることを知った拓也は今年の大晦日の夜もあの道は通るまいと思った、そう考えつつ今は寝た。
大阪の夜行さん 完
2021・2・27
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