暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第69話:黒いガングニール
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少しまともだったかもしれないわね」

 翼を見るマリアの目に、一瞬深い憂いが見えた気がした。それを感じ取った翼は、困惑した目を彼女に向ける。

「……マリア・カデンツァヴナ・イヴ、貴様はいったい――――?」

「おいおい、それはアタシが翼に比べて薄情だって言いたいのか?」
「とんでもない! 寧ろ驚いてるくらいよ。事前に調べた限りだと、あなたはもっと感情的に動くと思っていたわ。それこそ二年前の様に、ね」

 二年前という事は、あのライブでの惨劇の被害者を非難するテレビ番組に乗り込んで啖呵を切った時の事だろう。確かにあの奏を知っていれば、ここで彼女が感情を押さえて翼の宥め役に回っている事に驚きを感じても致し方ない。

「お生憎様。アタシには頼りになる魔法使いが味方してくれてるんでね。それよかそろそろ教えてくれないか? こんな事をして、一体何が目的なんだ?」
「……そうね。そろそろ頃合いかしら」

 マリアはマイクスタンドをバトンの様に回し、カメラに向けて叫んだ。

「私達は、ノイズを操る力を以てして、この星の全ての国家に要求するッ!」

「世界を敵に回しての口上?」
「宣戦布告のつもりかよ、クソが!?」

 マリアの言葉の無いように、翼は驚愕し奏は舌打ちする。

 だがそれを荒唐無稽と断じ切れていない自分が居る事に2人は気付いていた。既に彼女達は知っている。将来的に世界を相手に喧嘩を吹っ掛けようとするだろう連中を。そして連中の力があれば、それは確かに可能だろうという事を。

 岩国基地での事をまだ知らされていない2人ではあるが、彼女達の中ではマリアとジェネシスに何らかの繋がりがあるのではないかと言う推測がなされていた。

 しかしその考えも、この後のマリアの行動でどうでも良くなった。

「――そしてッ!!」

 マイクスタンドを天高く放り投げるマリア。突然の彼女の行動に一瞬投げられたマイクを奏が目で追っていると、マリアの口から聞き覚えのあるフレーズが聞こえ驚愕に息を呑んだ。

「――――Granzizel bilfen gungnir zizzl」

「なぁっ!?」
「まさかッ!?」

 驚愕する2人の前で、マリアの姿が変化する。

 二本の角の様なヘッドギア、両手に装着されたガントレット、腰の後ろのパーツ、両足を覆う鎧…………

 それらは2人が、特に奏が誰よりもよく知るシンフォギアと同じ形状をしていた。違いがあるとすれば、全体的に黒を基調としてアクセントにオレンジが入っている事と奏の知るものには存在しない大きな黒いマントがある事くらいだろうか。
 それ以外は、全く同一と言って過言ではない姿に変化していた。

「嘘、だろ? 何で――――?」

 マリアが纏ったそれは、
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