暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第69話:黒いガングニール
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翼ちゃんに見抜かれるとはねぇ」
「面目無いです。まだまだ修行が足りませんね」
「上手いポーカーフェイスのやり方、教えようか?」
「そうですね。お時間のある時にでも是非」




***




 それから程なくして、ツヴァイウィングとマリア・カデンツァヴナ・イヴのコラボライブが始まった。

 最初は日本でメジャーなツヴァイウィングの2人による歌が披露され、お馴染みの楽曲に観客のテンションが温められる。

 その次に行われたのが、話題のマリアによるソロ楽曲。アメリカで突然人気を博した新進気鋭の歌姫の歌はツヴァイウィングが点けた火を燃え上がらせ、観客を沸かせるのに十分な効果を発揮した。

 そして今回のライブのメインイベント。ツヴァイウィングとマリアによるコラボ楽曲がスタートする。

 会場のライトが消えて暗くなると客席は観客の持つ青と白のペンライトの光で彩られていく。

 そして大型モニターの画面には『Maria×Tsubasa』の文字が表示され、2人の歌姫がステージ上に姿を現す。まず最初はマリアと翼、2人によるデュエットだ。

 2人の登場に観客のボルテージは更に上がる。

「見せてもらうわよ。戦場に冴える抜き身のあなたをッ!」

 互いにレイピアの様なマイクスタンドを持ち、マリアは西洋騎士風のドレスを、翼は振袖をベースとした衣装を翻し歌い始める。

 魂を震わせる2人の歌に、観客は最高に盛り上がっていた。

 が、颯人に言わせれば奏が居ない時点でイマイチと言わずにはいられない。彼にとって最高の歌とは、奏の歌しかないからだ。彼女の出番は翼の後。彼はそれを密かに心待ちにしていた。

「そう言えば……」
「ん?」

 舞台袖、観客席からは死角になるところでステージを眺めていた颯人は、同様にステージ上の翼を見守っていた慎次から唐突に声を掛けられる。

「颯人君、二課に合流する前は海外でマジシャンをしていたんでしたよね?」
「あぁしてたよ。メディアに露出すると面倒な事になるからストリートパフォーマンスとかディナーショー位で抑えてたけど」

 それでも颯人が凄腕のマジシャンと言う事は海外では周知の事実として広がっていた。例えメディアを介さずとも、彼のマジシャンとしてエンターテイナーとしての腕は広がらずにはいられないものであった。彼が世界的に有名なマジシャンだった輝彦の息子と言うのもそれに拍車をかけているのだろう。
 海外で彼の父の名を知らぬ者は居ない。その男の息子で父に負けず劣らず優れた手品を披露する彼が、海外で有名にならない筈が無かった。

 最近では颯人の名声が徐々にだが日本にも流れてきており、特にここの所はリディアン近くの公園でストリートパフォーマンスをしてきた影響か彼の
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