暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第69話:黒いガングニール
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っけらかんと答えた。
「別に大したことじゃねえよ。ただ今回2人が共演するマリアって歌手が、なかなかに強敵だから2人が呑まれちまわないか少しばかり心配になっただけさ」
「何だそりゃ?」
颯人の言葉に奏は少しムッとなった。その顔には心外だと言う気持ちが溢れている。
「アタシ達がマリアに負けるかもって言いたいのか?」
「そうまでは言ってないさ。ただね――――」
「そうね。奏、颯人さんは嘘を吐いてる」
「「えっ!?」」
奏に詰め寄られて少しタジタジした様子を見せる颯人だったが、何と翼がそれをフェイクだと見抜いた。まさかの伏兵に颯人と奏が揃って驚いていると、彼女は慎次に近寄り彼の胸ポケットを指差した。そこには慎次が今し方外した眼鏡が仕舞われている。
「緒川さんが眼鏡を外したという事は、マネージャーモードではないという事です」
「あ……」
「……そうなん?」
「そう言えば……」
翼に言われ、慎次がしまったと言う顔になる。
慎次はエージェントとマネージャーの自分を、眼鏡の有無で切り替えていた。さり気無い変化なので分かり辛いが、見る人が見れば一発で分かってしまう。翼はその分かる1人だったのだ。
「自分の癖くらい覚えておかないと、敵に足元を掬われ――――」
翼から慎次への説教が始まりそうになった時、準備が整ったのか奏と翼にスタッフからの声が掛かる。
「お時間そろそろでーす! お願いしまーす!」
「はーい! 翼、時間だ」
「今行きます!……あ」
小言を途中で中断させられ、一度は奏と共にステージに向かおうとする翼だったが話が途中だったので躊躇してしまう。
その彼女に慎次が笑顔で語り掛ける。
「傷ついた人の心を癒すのも、翼さん達の大切な務めです。頑張ってください」
こう言われると翼としても悪い気はしないし、何より間違っていないので否定する事が出来ない。それに慎次の言葉は誤魔化しなどではなく、ただただ誠実なだけなので翼は反論できなかった。
「だってさ、翼?」
「……不承不承ながらも了承しましょう。詳しい事は、後で聞かせてもらいます」
奏の援護射撃もあって、翼は一応納得した姿勢を見せると衣装の上から羽織っていたパーカーを脱ぎ、特設ステージへと向かって行った。
奏もそれについて行こうとするが、パーカーを脱いだところで踵を返し颯人に近付くとそれを彼に押し付けた。
「言っとくけど、アタシ達の方がマリアってのより上だからな。それを今から証明してやる」
そう言うと奏は小走りになって翼を追い掛けてステージへと向かった。彼女の後姿に颯人は堪え切れないと言うように笑みを浮かべ、パーカーを適当に畳むと慎次と共に楽屋へと持っていく。
「しかしまさか、
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