冬はバーベキュー
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その時、別の声が聞こえてきた。低い男性らしき声。響たちと同じ通りすがりなのだろうか。
「オレも混ぜてくれよ」
それに対して、金髪の女性の肯定の声が聞こえてきた。
「ああ! いい……ぜ……」
だが、酔っぱらった金髪の女性の声が途中で止まった。
響が振り向くと、その表情も凍り付いた。
「あんがとよ!」
近くの社員を蹴り飛ばし、直接バーベキューの機械から串焼きを奪い、口に運ぶ存在。
青い体と四つの黄色の目。錨のような鎌のような義手を持った異形。
「バングレイ!」
響が叫ぶよりも先に、バングレイは他の社員を蹴り飛ばし、クーラーボックスの中から缶ビールを取り出す。
「お? これビールって奴じゃねえか? ラッキー」
バングレイはそのまま缶ビールを口に運ぶが、プルタブというものを知らないバングレイは、缶を数回振る。
「ああ? これどうやって開けんだ?」
しばらく缶ビールを撫でまわしたバングレイは、結局上部分を左手の鎌で両断した。そのまままるでコップのように中のビールを飲み干し、投げ捨てる。
「悪くねえな。コイツもいただくぜ!」
バングレイは残りの串焼きも全て取り上げ、バーベキューコンロを蹴り倒す。
「うわあああああ!」
「逃げろおおおお!」
「コウちゃん! 早く!」
おしとやかな女性に背負われた金髪の女性も離れていく。
響はバングレイに立ち向かおうとするが、ツインテールがそれよりも先に響の腕を掴んだ。
「逃げるよ!」
「ええ?」
響が止める間もなく、ツインテールに引っ張られていく。
そのまま、響の視界は、バングレイから森の中へシフトしていった。
バングレイは、どんどんバーベキュー場の料理を平らげていく。
地球はなかなか美味しい料理が揃っている。
バングレイは、ここ数日間の滞在で地球の料理を片っ端から食らっていた。中でも、このビールという飲み物は気に入っていた。
「っぷはぁ! 快適快適」
バングレイは残されたバーベキュー道具を蹴り飛ばしながら、むしゃむしゃとバーベキューの食材を、生だろうが焼いたものだろうが食い散らしていく。
「うぃ〜」
その時、間の抜けた声が聞こえてくる。耳障りなそれに振り向くと、川のそばで、ビールを飲んだくれている男がいた。
「まだいやがったのか? そいつもよこせ!」
バングレイは彼から缶ビールを奪い、飲み干す。
「あ! おい、返せ! そいつはオレがもらったんだぞ!」
「うるせえ!」
掴みかかってくる彼を殴り飛ばし、バングレイはビールを飲み干す。
「奪って飲むビールはバリうまいぜ」
「返せやこの野郎!」
すっかり
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