冬はバーベキュー
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リーダー格の女性からもらった串焼きを、響は口に運んだ。すると。
「ん! 美味しい!」
「へっへ〜ん。でしょでしょ?」
金髪の女性が得意げに言った。黒シャツとロングスカートの彼女は、髪などの手入れもほとんどしていないのにも関わらず、美人で誰もが振り向くような容姿をしていた。
「はい! これなんかもう、食べた瞬間に肉の香りが口の中に一杯に広がって、すごいです!」
「おお? 君いい反応するね。もしかしてまだ学生?」
「色々あって、無職の彼氏いない歴十七年です!」
「あっははは、そっかそっか。よかったらウチの会社来る?」
「ええっ!? そ、それはちょっと……まだ未成年だから、できることならもっといろいろ見たいと思ってしまうお年頃なのです!」
「がっははは! 冗談冗談!」
金髪の女性は響の肩を組む。
「なんたって今日は、ウチの一年お疲れ様会だからな? 多少のジョークは許せ! ほらりん! 酒じゃんじゃん持ってこい!」
「もう、昼間から飲みすぎよ」
すると、彼女の同僚らしき女性が釘を刺してきた。派手な美人の印象だった金髪の女性とは真逆に、おしとやかそうな外見の彼女は、金髪の女性にペットボトルの水を渡す。
「ごめんね。巻き込んじゃって。この人、仕事はできるんだけどそれ以外がズボラで」
「なんだよ、いいじゃんかよ〜! ついでだ、この子にもビール! ビール!」
「ええええっ!? 私未成年!」
「やめなさい」
「ちぇ」
おしとやかそうな女性の言葉で、金髪の女性は次にコウスケに絡みだした。すでに酔い始めているコウスケとは少し喋っていたが、やがて意気投合し、互いに浴びるように酒を踊り飲みし始めた。
ポカーンと開いた口が塞がらなくなっていた響の隣に、別の人物が腰を下ろした。
「ごめんね。ウチの人がなんか迷惑をかけて」
淡い紫のツインテール。年下なのかと見紛うような同顔。誰かの娘なのだろうかと思いながら、響は首を振った。
「ううん。全然。お腹空いてたから、むしろ助かったよ」
「そう言ってくれるとありがたいかな。仕事はすごい人なんだけど、お酒の席だとこうなっちゃうからな……」
「え? でも、君、まだ子供だよね? そういうことわかっちゃうの?」
「え?」
「え?」
驚いたような顔をするツインテール。彼女はしばらくしてから、合点が行ったように手を打ち、
「ああっ! もしかして、私子供だと思われた!?」
「ええっ!?」
響は慌てて口を抑える。だが、ツインテールはそれでは収まらず、
「私これでも十九ですよ!?」
「!?」
見えない、とは言えない。
だが、頬を膨らませる彼女を、響は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「なあなあ」
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