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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(1)~故に元帥は招集した〜
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けのみならず、戦力を動員する」

「我らが指導者、それは一体――」

「構成諸邦へ軍派遣の要請を出す」
「‥‥‥それは復興ではなく帝国軍との交戦を踏まえた行動ということでよろしいのですか」
 呻き声が響く、同盟軍と異なり構成邦軍が越境することは異例である。もちろん【交戦星域】では決して珍しいことではない。ヴァンフリート人民防衛軍にとっては【年に2度の繁忙期】があるくらいだ。
 だがそれは【防衛任務】ではなく【人道支援】、国防ではなく航路の再整備や本土に被害が及んだ際の復興支援が主軸である。当然である構成邦軍は同盟軍よりも財政、人的資源において弱体であり地上軍は精兵であろうと宇宙軍も船団国家であるアスターテ連邦や小惑星掘削艦や工作缶を保有するヴァンフリート民主共和国、軽空母艦隊擁するパランティア連合国など一部の例外を除けば事故救難や警察行為を目的としたものであって【戦争】に耐えうるものではない。(これらの国は成り立ちや国家形態から自然とそうなっている)

 彼らの神髄は地上軍にある。帝国軍は地上軍ありきでその輸送の為に宇宙軍が生まれたが同盟軍は構成邦間をつなぐための宇宙軍を集約し、それを同盟政府の権力の源泉とした。
 逆説的に言えば本来は地上軍は構成邦が担うのものなのだ――この100年を超える戦争で同盟地上軍にも莫大な資金と予算が投じられているのだが、それでも構成邦軍、特に地上軍は同盟軍の予備役として戦地において支援にあたることも多い。

「そうだ、邦間調整担当委員、イロンシ中将」

「はい、閣下」
 交戦星域間の支援活動や避難民の移動などを担当しているイロンシ中将が立ち上がった。
「仔細は任せる、また、ヴァンフリート人民元帥の名の下に【交戦星域】首脳会議の臨時招集を要請する。
貴官と関係部署には周辺国への増援要請に際する会談の準備を命ずる。貴様が主導して根回しを進めろ」
 敬礼を返す若手委員にうなずき、安全保障会議に参加した高官達に厳しい視線を向ける。

「ヴァンフリート民主共和国全土において人民元帥の名の下に予備軍の招集、およびヴァンフリート民主共和国全土、全人民に対し戒厳令を布告する。これはすべての人民と人民の資産を守るためのものであり、真正に可及的速やかに執り行われるべし」

 ――最高指揮官の令を受けて並ぶヴァンフリート政府高官達が立ち上がりらぞろぞろと最高司令部を後にする。

 人民元帥の結論は金科玉条、決断が下れば如何なる議論も不要、それこそが喉元の刃を見据え続けたヴァンフリート民主共和国の戦時における統治機構であるからだ。

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