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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(1)~故に元帥は招集した〜
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期出兵の目標がヴァンフリートへの侵攻という話をフェザーンの同盟情報部より通報があった」
 参謀総局総長のンジンガ・キルアンジ大将が重々しく口を開く。
 国軍としての席次は2位、同盟全体を見回しても珍しい女性の将官であるがその声と顔つきは戦塵で痛めつけられたことがある事実を誇示している。

「馬鹿な」「連中はあの【大侵攻】以来、ここに手を出すことは諦めたはずだ」
 ざわつく人民政府中央委員達の中で運輸担当委員がぼそり、とつぶやく
「‥‥4=2の後方拠点が漏れたのでは?アレは我々の経済に多大な恩恵を齎したが、我々の公的な流通以上に流通が増えたことは外からでも観測できる」
ヴァンフリートは豊かではない、さらに言えば食糧や医療品などの輸入と金属資源加工品のほか、実態としてのやり取りはもの寂しいものである。

「帝国に機密が露見した可能性は否定できません。であれば事態は我々の手に負える物ではない。アスターテと同盟軍に避難支援要請を出しましょう」

「そう簡単に本国を捨てるつもりか!!」

「国防担当委員として申し上げますが、同盟軍との連携があったとしても現在の要塞と保有する宇宙軍のみでは帝国正規艦隊相手に万一があった場合は――」

「要塞を放棄した場合に乗っ取られる危険性を――」「人民の居住区であるぞ!これを捨てた場合はわが政府の統治能力は――」「政府の存亡は要塞プラントではなく人民と現有兵力を――」
「経済担当として発言するが採掘艦と工業プラントを放棄するのは――」

「しかしですな、国防担当の発言も間違いではない、内務国家憲兵隊を予備軍として動員したとて要塞へ陸戦隊の強襲を受けた場合――」

 あわただしく意見を交わす政府中央委員達を見て、人民元帥は唇を引き結ぶ。

「中央委員諸賢は忘れているようだが――」
 キルアンジ参謀総長が口を開いた。
「我々が判断するのは『勝つか負けるか』ではない。戦うか国ごと退くかの話であるよ。アンタらが仮にも背広の代わりに軍服をまとう軍人としてそこに座っているのならば覚えておくが良い。そして戦うならばあらゆる手段を取りここを保持するしかないのだ。それが防衛戦争というものさね」

 先程までの喧騒が消え去る。

「人民元帥として結論を述べる」
 重々しい声が静寂を打ち破った、モハメド・カイレが口を開いたのだ。国家の中枢に連なる者たち、全ての視線が最高統帥者に注がれる。

「我々には同盟市民の、そしてヴァンフリート人民の財産と身心の安全を保障する義務がある。そしてその為にはイゼルローン要塞は無力化されねばならない。
であらば、帝国軍の侵入は断固として打ち払わねばならぬのは必然である、だが我々は戦力が不足している、そして時間はない。ならば――同盟としての中央への働きか
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