第百九十三話 武蔵入りその五
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「やはりです」
「強い勢力になりな」
「これまでもです」
「多くの寺社を従えてきたが」
「国人と変わらなかったです」
「そうだったな」
「大きな寺社は」
その彼等はというのだ。
「ですから」
「今もな」
「はい、その政を怠ることはです」
「ならな」
「ですから寺社奉行の話もです」
御坂、彼のそれもというのだ。
「しかとです」
「聞いてな」
「いいか悪いかを見極め」
「断を下すべきだな」
「今日の様に」
「そうだな、ではだ」
英雄は謙二に話した。
「これからもだ」
「今日だけでなく」
「寺社についてはな」72
「これからも」
「しかと治める、目を離すことはだ」
決してというのだ。
「しない」
「その様に」
「そして朝廷だが」
英雄は今度はそちらの話をした。
「あちらにはな」
「これまで通りですね」
「何かと寄進をだ」
「していきますね」
「そうしていく、この世界の朝廷は本来はな」
「はい、今は石になり海に沈んでいる」
良太が応えた。
「その世界にです」
「あるな」
「この浮島の朝廷は言うなら第二のもので」
「出先の様なものだな」
「はい」
そうだというのだ。
「そうしたものです」
「そうだな」
「本来の朝廷は日本にあり」
「そこの都にな」
「やはり歴代の帝を神として祀っています」
「その様だな」
「ただ今は」
この世界の現在ではというのだ。
「この世界はその殆どが海の中にあります」
「石に変えられてな」
「その全てが、ですから」
それ故にというのだ。
「朝廷もです」
「石になっているな」
「その様です」
「そして出先機関の筈だがな」
「とりあえずとはいえ、です」
「本来の朝廷の役目を行っている」
「そうなっています」
良太は英雄に畏まった声で話した。
「そしてそちらにもですね」
「寄進を行っている」
「それも多額の」
「公卿は祭司だ」
この世界ではそれが彼等の役目になっている、そのうえで和歌等を詠むことも行っているのである。
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