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レーヴァティン
第百九十三話 武蔵入りその二

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「しかし後家ならな」
「その人はですね」
「よいのですね」
「そうした人は」
「人の女だった」
 過去形であった、英雄の今の言葉は。
「それならな」
「よいのですね」
「だから大奥にも入れられていますね」
「そうされていますね」
「人は共に生きられるが」
 しかしというのだ。
「共に死ねるか」
「それはですね」
「まずないですね」
「それは」
「そうだ、そんなことはだ」
 それこそというのだ。
「まずないな」
「確かに」
「それはないです」
「人の寿命はそれぞれです」
「ですから」
「だから夫に先立たれた者はだ」
 そうした女はというのだ。
「俺は構わずだ」
「抱かれますか」
「私達の様に」
「そうされますか」
「そしてだ」 
 そのうえでというのだ。
「抱く、ただその女に既に相手がいるなら」
「それならですね」
「抱かれないですね」
「そうした人は」
「他の方と同じ様に」
「そうする、俺は今相手がいない女を抱く」
 そうするというのだ。
「常にな、しかし抱くのならな」
「こうしてですね」
「一度に何人でもですね」
「それでもですね」
「抱く、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「愉しみ愉しませる」
「では」
「今宵もお願いします」
「お情けを頂きます」
 女達は英雄のその言葉に応えた、そうしてだった。
 彼はこの時も数人の女と寝た、そして翌朝に朝食を食べた時に多くの典医からこんなことを言われた。
「御台所様もです」
「落ち着いてきたか」
「他の方も」
「それは何よりだ、風邪といってもな」
「注意しないといけないですね」
「全ては風邪からだ」
 この病からというのだ。
「身体を壊す」
「左様ですね」
「まさに万病の元だ」 
 風邪こそはというのだ。
「だからな」
「風邪をひかれたならですね」
「無理は絶対にせずだ」
 そうしてというのだ。
「薬を飲みだ」
「安静にですね」
「寝ていることだ」
 床の中でというのだ。
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