第二章
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「その中にいたら落ち着いてな」
「お家にするのね」
「だからケージはいいんだ、決まった時間に出してやったらな」
「いいのね」
「それでな、けれどふわりは賢い娘だろ」
今も部屋の隅で不安そうにしているふわりを見た、保健所から昨日この家に来たばかりなのでまだ不安なのだ。また捨てられるのではと。
「だから扉は開けたままだ」
「ふわりだと何時出ていいか言ったら」
「すぐにわかるからな」
だからだというのだ。
「門は開けたままにするぞ」
「そうするのね」
「ケージは犬小屋だ」
文太はこうも言った。
「だから必要なんだ」
「そう言われてやっとわかったわ」
どうしてケージを買う様に言われて買ったのか、妻も理解した。
「犬小屋ね」
「そうだ、ケージはな」
「だから必要なのね」
「犬小屋の傍にずっとつないでいて散歩も行かず無視したら駄目だろ」
「飼育放棄ね」
「あいつ等は平気でそれをやったんだ」
何の迷いもなくというのだ。
「だから屑なんだ」
「最低なのね」
「しかし俺達は違う、そんなことするか」
「絶対にね」
「だからふわりの家を買った、ふわり今日からここがお前の家だ」
「クゥン?」
ふわりは言われて父に顔を向けた、父はその彼にさらに言った。
「毛布敷いておくから敷き終わったら入れ」
「クゥン・・・・・・」
「安心しろ、扉は開けたままだ」
前みたいに閉じ込められて一日中出してもらえず無視されるのではないか、ふわりがそう思ったと察してこうも言った。
「俺達がいいといったら、あと飯だって行った時は出ろ。あとトイレの時もだ」
「クゥン」
「そこにいろ」
「そういうことだから」
母もふわりに笑顔で話した。
「入ってもいいのよ」
「クゥン」
「安心してね」
「俺達はお前に酷いことはしない」
父はふわりに誓う様に言った。
「だから安心しろ、お前の家として使え」
「そうよ、お家だから」
母も優しく言った。
「安心してね」
「クゥン」
「こうしておくぞ」
父はふわりに言ってだった。
ケージの扉を開けた、そのままにしてふわりに言った。
「俺達はお前を閉じ込めないからな」
「クゥン?」
「基本ここにいろ、けれど出ていいと言ったら出ていいし」
ふわりにさらに言った。
「決まった時間には出ろ、トイレや飯食う時もだ」
「クゥン」
「わかったな」
「ワン」
やはりまだ元気はない、だがふわりは頷いて答え。
自分からケージの中に入った、そうして休みはじめた。母はそんな彼女を見てそのうえで夫に言った。
「ケージはいるのね」
「家だからな」
犬のというのだ。
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