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私はインフルエンサー・頭フサフサ陽之介
私はインフルエンサー・頭フサフサ陽之介
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父、ツイッター名・ぬめ王だ。

 彼とはツイッターつながりで知り合った。私の熱烈な信者らしい。
 最近はリプ欄を見なくなったので把握していないが、以前は投稿ごとに必ずリプライ欄に感謝の感想を書き込んでいた。人生相談に乗ってあげたこともある。

 彼は独身ながら2LDKのマンションに住んでいると言っていた。私の信者だったし泊めてくれるだろう。
 電話をかけたがやはり出ないため、ラインのメッセージを送った。

『ちょっと訳ありで自宅に帰れない。今日泊めてもらえるか?』

 返事はすぐに来た。

『無理ですよ。僕もう田舎の実家に帰ってるんで』
『は? なぜだ?』
『前に仕事で悩んでたときにツイッターであなたに相談したら「君の能力を引き出せないダメな会社はすぐにやめるべきです」って言ってたじゃないですか。そのとおりに辞めたらそのあと全然就職先が見つからなくて。家賃が払えなくなってマンション追い出されて、今は実家を拠点に職探し中なんです』

 アドバイス後の彼がどうなったかは追いかけていなかったため、全然知らない事実だった。
 返事をどうしようか迷っていると、彼のメッセージが続けて投下された。
 彼も止まらない。

『実家の両親に、この不景気でせっかく正社員で雇ってもらえてたのになんで辞めたの? って言われましたよ』
『ハッキリ言いますけども、僕は前の会社を辞めて後悔してます』
『しかもあなた今日の動画で「見てすぐわかります! ダメの人にありがちな容姿TOP3」とかいう動画をあげてたましたよね? 1位ハゲとか失礼にも程がありませんか?』
『僕は髪ほとんどないんですけど、これ遺伝ですよ? どうしろって言うんですか?』
『もう連絡してこないでください』

 ……。
 こいつもダメか。役立たずめ。
 そう思い、彼のラインもブロックした。
 そしてまたニュースを見る。

『警視庁、ユーチューバー頭フサフサ陽之介≠アと房元陽之介の逮捕状を請求』

 ――!
 そのニュースの更新時刻は今日の昼になっていた。
 うかつだった。見逃していたか。

 すでに逮捕状を取られてしまっていたようだ。
 家に来た警察は、任意同行ではなくその場で逮捕するために来ていたのだ。
 早めにどこかにかくまってもらわなければ。

 ……かくなる上は、彼女の家か。

 あまり迷惑をかけたい相手ではなかったが、こうなっては仕方ない。
 ラインで『今日、これから泊めてほしい』と送る。

 しばらく待っても、返信の音が鳴らなかった。
 念のため通話でも連絡しようかと思い、スマホの画面をつける。
 すると、通話ボタンを押す前に充電が切れてしまった。

 黒く落ちた画面を数秒見て、決意した。
 信じて彼女の家に行こ
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