暁 〜小説投稿サイト〜
私はインフルエンサー・頭フサフサ陽之介
私はインフルエンサー・頭フサフサ陽之介
[2/8]

[1] [9] 最後 最初
分宛ということになるので、酷いアンチコメントは名誉毀損や侮辱に当たる可能性が高い。今の法律では圧倒的にこちらが有利だ。

 ノーストレス。人生イージーモード。
 私はインフルエンサー、頭フサフサ陽之介。



 今度は、二十二時に開催する予定のインスタライブの準備をしよう。
 そう思ってお茶を一杯飲み、再びデスクでノートPCを開いたときのことだった。

 スマホが、短く鳴った。
 この音はLINEのメッセージだ。四回続いた。

 いつもであれば、何かをやり始めたときには他のことで中断することはない。
 基本的に自分の時間を奪うものは無視している。しかし四回連続というのは最近では珍しい。
 気になってスマホを開いてみる。

 メッセージの送り主は、動画配信をしている有名ユーチューバー・ハゲター。
 すでに彼の動画は見ていなかったが、ニュースなどにツッコミを入れていく物申す系ユーチューバーとして一定の評価を得ていた。

 メッセージは、音のとおり四つだった。

『警察が来た』
『お前と同じように反抗して動画配信続けてたけどよ。甘く見てた』
『今逃げてる途中。逃げ切れるかどうかはわからないが頑張ってみる』
『お前も気を付けろ』

 尋常な雰囲気ではない。
 なぜ警察が? 反抗とはいったい? お前と同じように、とは?
 その旨を送信すると、すぐにその返信が来た。

『まさか知らなかったのか? インフルエンサー排除法』

 すぐにネットを検索した。
 目を疑った。

 インフルエンサー排除法が施行、とあった。

 施行日は一昨日。電撃施行という文字。いつのまにこのような法律が。
 少数政党『インフルエンサーから国民を守る党』の呼びかけで議員立法された法案が通ったとのことだった。

 インフルエンサーの発信は悪魔のささやき。人々の欲望や恐怖心、無知や誤解などにつけこむ甘い言葉で国民を煽り、国の生産性および国際競争力の低下を招き、最終的には国家転覆につながってゆく――
 という理由により、刑事罰は内乱罪と同等。死刑もしくは無期禁錮。
 そのように書かれていた。
 そんな無茶苦茶な、と思った。

 さらに他の記事を見ていく。
 なんと、大物インフルエンサーは軒並み逮捕済みとなっているようだった。
 登録者数日本一のユーチューバー・ピカールも、カツラ芸人ユーチューバー・ヅラ龍も、オンラインサロン運営・抜けナリも、すでに逮捕されている。
 彼らは今日の昼間、警察官が自宅に来て任意同行、その後逮捕となったようだ。

 ――ピンポーン。

 自分も危ないのではないか?
 そう思ったところに、玄関のインターホンが鳴った。
 背中に冷湿布を貼られたような感覚。
 すぐに液晶モ
[1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ