私はインフルエンサー・頭フサフサ陽之介
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分宛ということになるので、酷いアンチコメントは名誉毀損や侮辱に当たる可能性が高い。今の法律では圧倒的にこちらが有利だ。
ノーストレス。人生イージーモード。
私はインフルエンサー、頭フサフサ陽之介。
今度は、二十二時に開催する予定のインスタライブの準備をしよう。
そう思ってお茶を一杯飲み、再びデスクでノートPCを開いたときのことだった。
スマホが、短く鳴った。
この音はLINEのメッセージだ。四回続いた。
いつもであれば、何かをやり始めたときには他のことで中断することはない。
基本的に自分の時間を奪うものは無視している。しかし四回連続というのは最近では珍しい。
気になってスマホを開いてみる。
メッセージの送り主は、動画配信をしている有名ユーチューバー・ハゲター。
すでに彼の動画は見ていなかったが、ニュースなどにツッコミを入れていく物申す系ユーチューバーとして一定の評価を得ていた。
メッセージは、音のとおり四つだった。
『警察が来た』
『お前と同じように反抗して動画配信続けてたけどよ。甘く見てた』
『今逃げてる途中。逃げ切れるかどうかはわからないが頑張ってみる』
『お前も気を付けろ』
尋常な雰囲気ではない。
なぜ警察が? 反抗とはいったい? お前と同じように、とは?
その旨を送信すると、すぐにその返信が来た。
『まさか知らなかったのか? インフルエンサー排除法』
すぐにネットを検索した。
目を疑った。
インフルエンサー排除法が施行、とあった。
施行日は一昨日。電撃施行という文字。いつのまにこのような法律が。
少数政党『インフルエンサーから国民を守る党』の呼びかけで議員立法された法案が通ったとのことだった。
インフルエンサーの発信は悪魔のささやき。人々の欲望や恐怖心、無知や誤解などにつけこむ甘い言葉で国民を煽り、国の生産性および国際競争力の低下を招き、最終的には国家転覆につながってゆく――
という理由により、刑事罰は内乱罪と同等。死刑もしくは無期禁錮。
そのように書かれていた。
そんな無茶苦茶な、と思った。
さらに他の記事を見ていく。
なんと、大物インフルエンサーは軒並み逮捕済みとなっているようだった。
登録者数日本一のユーチューバー・ピカールも、カツラ芸人ユーチューバー・ヅラ龍も、オンラインサロン運営・抜けナリも、すでに逮捕されている。
彼らは今日の昼間、警察官が自宅に来て任意同行、その後逮捕となったようだ。
――ピンポーン。
自分も危ないのではないか?
そう思ったところに、玄関のインターホンが鳴った。
背中に冷湿布を貼られたような感覚。
すぐに液晶モ
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