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ユア・ブラッド・マイン 〜空と結晶と緋色の鎖〜
第8話『交戦』
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ドラル……冥質界(カセドラル)? あの怪鳥は冥質界に関係しているということだろうか。

「ssyyyaaaaaaaaaaaa!!」

 呆然とする玲人たちを他所に、怪鳥は森の奥のほうへと消えていく。 玲人が我に帰ったのは、森に侵入するために男が柵を破壊した時だった。

「あ、おい待て!」
「お前に構ってる暇はないといった! 大事なお友達の心配でもしていろ!」

 男の言葉に、一瞬動きが止まる。 その隙に男もまた、残った武者を連れ、怪鳥を追っていってしまった。 追おうにも大穴が邪魔で、男を見失う。
 男はお友達の心配と言った。 玲人は仲間のことは話していないので、やはり燕達の方を襲っているのも武者たちで、製鉄師である男には何らかの形で情報が共有されているのだろう。
 刀の汚れを拭き取り、鞘に収める。 今単独で追跡するのは危険だ。 男や怪鳥のことは気になるが、ここは最初の予定通り燕達との合流を優先しよう。
 だが、男との交戦で大分時間が経った。 最初の悲鳴以降あちらの状況がわかるような出来事はないが、引き返して来ているとしたらそろそろ戻って来てもおかしくはない。

「草場君!?」

 噂をすれば影、というやつか。 タイミングよく立石の声が聞こえる。 そちらの方へ向かうと、二刀を構える立石と長谷川を背負った天野、そして立奈が走ってくるのが見えた。 その後ろから追ってくる、武者の姿と共に。

「しゃがめ!」

 流石に訓練を積んだ製鉄師。 玲人が叫んだのとほぼ同時に身をかがめる。 反応が遅れた立奈も、天野に押される形で倒れ込む。
 それを確認すると、追っ手の武者い向かって燕の刀を蹴り飛ばす。 玲人の思い描いたコースと寸分違わず跳んだ大太刀は、武者の顔面の中心にヒットした。 当然何のダメージもないが、一瞬武者を怯ませることに成功する。 一秒にも満たないほんの一瞬のことだが、製鉄師にとっては十分な一瞬だった。

「せい!」

 気合と共に立石が振りぬいた剣が、武者の頭と胴を両断する。 やはり鉄脈術を用いた攻撃ならば有効なようだ。 首を落とされた武者は活動を止め、黒い灰のような粒子となって消えていく。
 それを確認した立石は剣の実体化を解除すると、大太刀を拾って駆け寄ってくる。

「これ、柳葉先生のですよね? 蹴ったりしたら怒られますよ」
「抜いた時点で説教確定、後は誤差だろ。 追っ手は今ので最後か?」
「はい。 術を索敵機に切り替えましたが、さっきの化け物はもうこの近くにはいませんね」
「そうか」

 相変わらず、鉄脈術というのは便利な物だ。 倒れ込んだ立奈と天野を助け起こし、とりあえずいずもに戻ろうと提案する。
 燕たちの様子は分からないが、立石がいうには特に心配はなく、もう間もないうちに戻ってくる
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