第8話『交戦』
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いる。
なぜそうしないのか。 輝橋の向かった先にいるのも同じ鉄脈術による物だと仮定すると、範囲の問題かあるいは数の問題か。 とりあえず、この場で使えるのはこの3体だけと考えても良さそうだ。
だとしたら好都合。 鉄脈術の維持には体力を消耗する上、発動限界時間もある。 すでに男の息はかなり荒くなっているのを見ると、長続きはしないだろう。 このまま時間を稼いで術が切れるのを待つとするか。
一旦大きく刀を振って斬り下がる。 数で負けてる以上は囲まれるわけにはいかない。
こちらの意図に気づいたのか、男は忌々し気に舌打ちをする。
「お前なんかに構ってる時間はないんだよ……!!」
「そうか? こっちはまだ遊び足りないんだがな」
この調子で行けば大丈夫。 そう思った、その時。
ふと、風を切る音が聞こえた。
さっき武者に背後を取られた時とは比べ物にならない、強烈な嫌な予感に襲われる。 ここにいてはまずい。 強張る体を無理やり動かし、とっさにその場から飛び退く。 玲人の動きを好機と見たのか、2体の武者が飛びかかってくるが……
フッ……と、武者の姿を巨大な影が覆い隠す。
一瞬の後に残されたのは、運よく陰から逃れることのできた武者の1体と玲人、そしてその間に横たわる巨大な穴だけだった。
「なんッ……!?」
「こいつは……ッ!!」
あまりの出来事に言葉を失う。 目の前の光景に、もし少しでも判断が遅れていたらと考えると背筋を冷たいものが流れる。
「ssyyyaaaaaaaaaaaa!!」
穴の底から布を裂くような叫びが聞こえたかと思うと、この現象の犯人と思われる影が飛び出してくる。
その容姿を一言で表すとしたら”怪鳥”だった。 鳥という表現も正しく無いように思えるが、他に適切な表現もないので仕方がない。
翼のように見え一対の器官に、三本の獰猛な鉤爪。ドリルを連想させる鋭利な嘴の根元で爛爛と輝く一つの目。
フィクションでしか見ない……いや、物語でも見ないような醜悪な怪物が、目の前に広がる夜空を我が物顔で泳いでいた。
「おいおい、化け物なら何でも出せるってのか……?」
驚くほどかすれた声が喉から出る。 武者の増援が来るだけで厳しい状況に、その武者を一撃のもとに葬るような奴が相手となると、もう玲人に勝ち目はない。
……いや待て、おかしい。 あの怪鳥が男の援軍だとしたら、武者に攻撃する理由はない。 しかし怪鳥は玲人も武者も巻き込む無差別攻撃を行った。 男と怪鳥は無関係ということか……?
「見つけた……遂に……!」
当の男の方はというと、怪鳥を見るや否や目の色を変えていた。
「カセドラル・ビーイング!!」
聞き覚えのない単語が男の口から飛び出す。 カセ
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