第二章
[8]前話
「ムニェカ泣いています」
「ほっとして」
「それで安堵の涙を流しています」
「そうなっています」
「そうですか、よかったです」
エレインも彼の涙を見て笑顔で言った。
「この子がほっとしてくれたら」
「そうですよね」
「じゃあこの子の里親を探していますし」
「後はいい人に来てもらいましょう」
「心ある人に」
スタッフの誰もが笑顔になった、そして暫くして。
黒髪で黒い目のアジア系の背の高い青年がミニェカの里親募集の話をインターネットで見て施設にj来た、そうして彼を見て話した。
「お話は聞いています、家族で」
「ムニェカをずっとですね」
「飼わせてもらいます、僕もかつて友人と思っていた連中に自分達の都合が悪くなったら切り捨てられたことがありまして」
それでとだ、スバル=ナカジマと名乗る青年はエレインに話した。
「捨てられる悲しさはわかっているつもりです」
「だからですか」
「しかもその子は目が見えないですね」
「はい」
「そんな子は放っておけないですから」
だからだというのだ。
「ですから」
「それで、ですか」
「この子を引き取って」
そうしてというのだ。
「最後まで」
「一緒にいてくれますか」
「そうします、じゃあ行こうか」
青年はここでだった。
ムニェカを抱き上げて抱き締めた、そうして彼に言うと。
「ワン・・・・・・」
「泣いています」
エレインはその彼を見て青年に話した。
「貴方がどんな人かどう考えているのかが伝わって」
「それで、ですか」
「貴方と家族になれるので」
それでというのだ。
「嬉しくてそしてもう不安や悲しみから解放されると思って」
「安心してですか」
「安堵の涙を流しています」
「そうですか」
「はい、ではこれから」
「この子が不安や悲しみに捉われない様にします」
青年は約束した、そうしてムニェカを家に連れて帰った、そしてだった。
エレイン達施設のスタッフ達は青年とその家族からムニェカの幸せな顔の画像を定期的に送ってもらった。捨てられて失明した悲しみと不安に捉われた彼はもういなかった。安心して温かい中にいる彼がいた。皆その彼を見て安堵の笑顔になった。
安堵の涙 完
2021・2・25
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