第107話 難楼 前編
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谷郡にあるので仲良くやりましょうね」
「ああ!」
風は稟に声をかけると私の方を向きました。
「正宗様、私は烏桓族を保護し、彼らが上谷郡の復興に尽力するように導けばよろしいのですね」
「そうだ。風、彼らの降伏を纏め上げたお前が適任だと思う」
「大守の地位に任じていただいた以上、頑張って働かせていだきます〜。しかし、人材を回してください。できれば、武官の方をお願いします」
風は拱手して私に礼と希望を告げてきました。
「分かった。出来るだけ早く手配しよう」
幽州に進出して、急に人材不足になってきました。
朱里は上手いことやってくれているでしょうか?
彼女は武官の手配は無理そうなので、私の方でどうにかするしかないですね。
「泉、お前は上谷郡での烏桓族討伐では局地戦ながら戦功を上げたこと、白藤の監視も問題なくこなしてくれた。私は烏桓族討伐にあたり、朝廷へ私に護烏桓校尉の官位を与えるように上奏するつもりだ。よって、お前にはその属官の司馬に任ずようと思う」
「正宗様、お待ちください!」
泉は私の申し出に声を上げました。
「どうした?」
泉の態度に私は訝しい表情をしました。
「恐れながら申し上げます。今度の任務は私一人の功ではございません。無臣は兵卒の身ではございますが、将の器がございます。不遜な申し出ではございますが、司馬の官職は私でなく無臣へお与えください」
泉は拱手をして平伏したまま、私に言いました。
彼女は真面目な性格です。
彼女の話に嘘偽りはないと思います。
しかし、無臣は思った以上に優秀なのでしょう。
張純を討ち取った腕前なので武はそれなりのはずです。
「良いだろう。泉と無臣に司馬の官職を与える。共に励んでくれ。泉、無臣をここに呼べ」
「ハッ! 直ぐに呼んで参ります!」
泉は私の言葉を受け、嬉しそうに立ち去っていきました。
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