第107話 難楼 前編
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てみれば揚羽と一緒の方が一番しっくりと落ち着きます。
ああ、揚羽が側に居て欲しい。
「コホンッ」
私の側で咳払いが聞こえました。
咳払いをしたのは冥琳でしょう。
「冥琳、なんだ?」
「今回、難楼より献上された女性より3人選ぶとなっていたと記憶にありますが」
冥琳は私に確認するように尋ねてきました。
「私には無理だ。譲歩して1人でお願いします」
最後は丁寧語で冥琳に言いました。
「駄目です。千名も献上され、1人では体面上よろしくないです」
「1人しか好みの女性が居なかったと言えば言いだろう」
「それでは烏桓族を増長させます。複数の女を側室にすることで、烏桓族を一枚岩にさせずに済みます。1人も2人も駄目です。3人だからこそ意味があるのです。烏桓族の立場を守ることも大事ですが、烏桓族が力を一つにするような事態は作ってはなりません。これは正宗様だけの問題ではございません」
冥琳は有無を言わさない表情で私に詰めよりました。
「やっぱり駄目か?」
「駄目です」
冥琳はきっぱりと言いました。
「分かった。私もこれ以上しのごは言わない」
私は渋々納得しました。
「一気に側室は4名ですか。主、もう後1人、2人増えても支障は無いですな」
星は私を見て、機嫌の良さそうな表情で言いました。
私はそれに何も言いませんでした。
気が重い。
麗羽の耳に入るのが凄く恐ろしい。
揚羽はこのことをどう思うだろう。
頭の中がぐちゃぐちゃになってきました。
「正宗様、気をしっかりとお持ちください。烏桓族討伐はやっと山場を超えたばかり、詰めを謝れば水泡に帰す可能性があります」
冥琳が私を労るように言ってきました。
「そうだな。風、稟、泉の3名は前へ」
私は気を取り直し、幽州支配の先駆けになる人事を行うことにしました。
後日、早馬で朝廷へ奏上するつもりです。
「風と稟、烏桓族討伐のためにの外交及び、補給線の維持をよくやってくれた。特に、風は難楼の降伏を纏め上げ、無用な血を流さずに済んだ功は大きい」
私は一呼吸置き、言葉を続けました。
「風、お前を上谷郡大守に任じる。稟、お前を幽州刺史に任じる。従事中郎の官職は今まで通り兼任してくれ」
風と稟は私の言葉に驚いていました。
「誠にございますか?」
稟が私の言葉を確認してきました。
「嘘ではない。両名とも良くやってくれた。私が幽州支配を固める為に尽力して欲しい」
「ハッ! この郭嘉、命に替えましても、正宗様の為に尽力いたします」
稟は拱手して私に礼を述べました。
「稟ちゃん、良かったですね〜。幽州刺史の治所は上
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