第六百二話 梅干しの魔力その十四
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「もうこれが推理なんてね」
「流石に思えなかった」
「けれどどうもね」
「マウリアでは正統派推理ものらしい」
「超能力バトルものに聞こえるけれど」
トムは連合の考えから述べた、実際にこの国ではそうした作品は推理ものとは絶対に考えられない。
「違うんだね、マウリアだと」
「そうだ、あの国ではな」
「セーラ達にも聞いたけれどね」
「推理には超能力や魔法も使う」
「それでバトルもあるのよ」
「そして恋愛要素も入る」
「歌と踊りは欠かせないそうよ」
そういった全てのものが入るというのだ。
「特に歌と踊りはね」
「ないと駄目とのことだ」
「ああ歌と踊りはわかるよ」
トムにしてもだ。
「そこはね」
「だってね」
ジャッキーはトムに話した。
「マウリアだから」
「そうだよね」
「あの国の映画とかドラマはね」
「もう歌と踊りがね」
「絶対だから」
何があってもだ。
「ないとどうにもならないから」
「そうだよね」
「推理でもね」
このジャンルの作品でもというのだ。
「絶対に」
「欠かせなくて」
「ここぞという時になったら」
「歌って踊る」
「何があっても」
「そうなのよ」
「あと重要だと思ったキャラが途中でいなくなる」
テンボはこの展開も話した。
「そうしたことも多いみたいだな」
「殺されるとか?」
「いや、いなくなる」
「ああ、出て来なくなるんだ」
「そうなる」
「それもマウリア映画だね」
「マウリア映画は時としてストーリーが急に変わるしな」
そして必ずハッピーエンドになるのだ。
「そうしたこともだ」
「普通なんだ」
「そのこともな」
「ううん、何か」
トムはここまで聞いて思った。
「この目で観たくなったよ」
「じゃあ今日観たら?」
ジャッキーがそのトムにあっさりと答えた。
「そうしたら?」
「今日って」
「マウリアの子達が教室の一つ借りて映画観賞会やっててね」
「マウリア映画の」
「そう、それでね」
「推理映画もなんだ」
「上映してるから」
だからだというのだ。
「視てきたら?」
「うん、じゃあね」
トムはジャッキーのその言葉に頷いた。
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあね」
「今日行って来るよ」
こう言ってだった、テンボは実際にそのマウリアの推理映画を観ることにした。そして恐ろしい衝撃を受けるのだった。
梅干しの魔力 完
2021・1・2
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