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夫婦の子供
第一章

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                夫婦の子供
 コディ=マコーネル、アメリカのある街の工場で働いている彼は妻のエレナに対して言った。
「暫くはか」
「考えることもね」
 ブロンドの髪をストレートで伸ばしている緑の目の妻は言った、白人だが顔立ちは何処かアジア系に似ている。夫は白い髪で目は黒だ。肌は白く鼻は高い。二人共やや太めで背は高い。
「したくないわ」
「そうか」
「二度共流産だったから」
 だからだというのだ。
「暫くはね」
「わかった、それじゃあな」
「子供のことはね」
「そういうことでな」
 夫も妻も子供のことは二度の悲劇で当分考えたくなくなっていた、何時かはとは思っていても今は到底無理だった。
 それで夫は日々妻と子供以外のことを話してそれぞれの趣味共通のそれも楽しんで過ごしてた。そして仕事もしていたが。
 ある日職場の工場の敷地内で一匹の犬を見掛けた。痩せていて毛はボロボロの小さな犬だった。その犬を見て彼は言った。
「コリーじゃないよな」
「コリーはずっと大きいだろ」 
 一緒にいた同僚が答えた。
「だからな」
「こいつは違うか」
「ああ、しかし随分ボロボロだな」
 同僚はその犬を見て言った、見れば弱っている感じだ。
「野良犬みたいだしな」
「首輪もなくてな」
「このままじゃ長くないかもな」
 その弱り方を見てこうも言った。
「若しかしてな」
「そうかもな、何かな」
 その犬を見ているとだ、コディは言った。
「こいつ見てると放っておけなくなったな」
「飼うか?」
「そうするか、じゃあ仕事が終わったらな」 
 その時はというのだ。
「こいつ引き取ってな」
「家で飼うか」
「女房とも相談してな」
 そうしてというのだ。
「考えるな」
「それがいいかもな、こいつ放っておいてもな」
「すぐに死ぬかも知れないしな」
「弱ってるからな」
「クゥ〜〜ン・・・・・・」
 見れば鳴き声も弱々しい、動きもかなり悪い。それでは確かに長くないかもと思われた。それでコディは犬を引き取ってだった。
 妻に彼を見せたが妻も夫の話と犬の弱々しい様子を見て放っておけなくなり飼うことに同意した、そうしてだった。
 すぐに犬を獣医に診せると色々なことがわかった。
「三歳位の雄でか」
「種類はイェトランドシープドッグっていうらしいわ」
「コリーに似てるけれどコリーは大きいからな」
「すぐに違うってわかるわね」
「ああ、それでか」
「目は白内障で耳は聞こえてなくて打撲傷もあって」
 妻は今度は犬の障害のことを話した。
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