第三章
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「お母さんのお布団の中にね」
「布団の？」
「子供達がいたのよ」
「ニャア」
「ナア」
「ニャン」
「ニャアオ」
「ウニャア」
五匹共母の足下にいた、黒のトラ毛はイチ、茶のトラ毛はグウ、白猫はハナ、薄茶はスミ、灰色はマオと名付けられていた。
その彼等がいてだ、息子は母に言った。
「何でここに」
「ああ、多分ミナがな」
父も寝間着姿で言ってきた、腹巻がよく似合っている。
「俺達が寝ている間にな」
「子猫をか」
「一匹一匹母さんの布団の中に入れたんだろうな」
「一匹一匹か」
「そうだろうな、いつも一緒にいたからな」
「そうなんだな」
「もう長くなかったんだ、猫は自分の死ぬ時がわかるんだ」
それでというのだ。
「それでだ」
「もう死ぬからか」
「母さんそして俺達にな」
「子猫を託したんだな」
「そうだろうな、それでミナは」
「リビングで死んでるよ」
「そうか、やっぱりな」
父は息子の返事を聞いて納得した。
「そうだろうと思った」
「そうなんだな」
「ああ、本当に最後の力を振り絞ってな」
「一匹一匹運んだんだな」
「俺達に預けてくれたんだ」
「そうか、じゃあな」
それならとだ、息子は父に応えた。
「俺達でな」
「皆育てるぞ」
「そう決めていたしな」
「これまでもそうだったし」
母も言ってきた。
「そうしましょう」
「ああ、絶対にな」
「そうしていこうな」
「ミナが託してくれただけに」
三人で話した、そうしてだった。
三人は他の猫達は言うまでもなく五匹のミナが託した子供達も育てていった、五匹はミナの願いを受けたのかすくすくと育ち。
すっかり大きくなり他の猫達と共に家の中で元気に暮らす様になった、一家はそんな彼等を見てこれからもミナのことを忘れないで育てていこうと思った。
母猫の行動 完
２０２１・２・２４
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