第三章 リベン珠
第20話 決戦の前の羽根休め
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、ドレミーの方も鬱憤が溜まっており、それが勇美達の行く手を妨害するに至った経緯でもあったのだ。
当然、これは応急処置であり、長くは持たない対処であったのだ。このまま続けば月の民達は疲弊してしまうだろう。
そして、サグメは話を更に続ける。
『そこで挙がった案が『幻想郷への遷都』であったという訳よ』
「!?」
その言葉に勇美は驚愕してしまった。そのような恐ろしい事が行われようとしていたのかと。
そして、許せなかったのだった。その理由は、勇美は今までの幻想郷との関わりを経て、八雲紫に頼み込み、自分の新たなる故郷とする事を選んだからである。
故に、その自分の拠り所である幻想郷を踏みにじられるのは断じて許容出来る話ではなかったのだ。最早、勇美にとって幻想郷は紛れもなく護るべき存在となっていたのだから。
勇美は当然その旨をサグメに伝えた。いくらサグメが先程自分と弾幕ごっこを経て友情染みたものが芽生えていようと、カレーのお供にお冷やを出してくれた配慮の事があろうとも、この事ばかりはちゃんと言っておかなければならないだろうと踏んだのだ。月の民の勝手は見過ごせは出来ないのだから。
しかし、その後でサグメから返って来た答えは以外なものであった。
『言い訳がましい事を言うかも知れないけど、遷都の件については私や月の者も乗り気ではなかったって事だけは分かって欲しいですね』
「えっ……?」
その言葉は勇美にとって意外なものであったようだ。
以前豊姫から聞いた月の民の思想を考慮すると、彼等は地上を見下していて、地上がどうなってもいいだろうという認識があったのである。
それが、月の民は曲がりなりにも遷都については後ろめたい気持ちがある事が分かったのだった。
この事は、多少なりとも月の民の思想が良い変化をしていった事を伺える要素ではないだろうか。
そこで、勇美は一つの仮説を導き出した。──恐らく依姫と豊姫が配慮してくれたのだろうと。
その証拠がスペルカードが月に広まっていた事だろう。依姫が自分の経験した弾幕ごっこによる戦い方を月にも常備させてくれたと思われる。
それにより、サグメも玉兎二羽も弾幕ごっこで勝負を受けてくれたのだろう。その事を噛み締め、勇美は改めて心の中で依姫に感謝をするのだった。
そして、玉兎の事で思い出す事があったのだ。
「そういえばサグメさん、玉兎の皆さんって遷都の事を……」
『勿論知らないわ。彼女等は地上に別荘を作るつもりに教えられているわ。残念ながら、それが大人のやり方というものよ』
「……そういうのは、月でも同じなんですね」
勇美はその事実を噛み締めながら、自分の母親やその周りの人間の事を思い出していた。都合の悪い事には触れなかったり、平気で嘘を吐いたり、あまつさえそれを正しい事のように行
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