第三章 リベン珠
第20話 決戦の前の羽根休め
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彩る形で主役の妨げにならない位の絶妙な丁度良さで以てサラダも付いていた。
「だからって、下品なオノマトペで表現するのもどうかと思いますが……」
鈴仙はそうツッコんでおいた。いくら美味しさを表したいからと、余りやるべき事ではないからだ。
「ごめん、少し自重します。でも、備え付けの飲み物がお冷やってのはありがたいですよね」
「あ、それ私も同感です♪」
「イシン、分かってくれるんだね♪」
カレーに味噌汁で飲める人は、何と300人に170人と、苦手な人には徹底的に苦手でありながら否定派よりも多いのである。
故に、勇美はイシンが自分と同じく、その漏れた130人の仲間であった事に非常に心が弾むのであった。
『私の読みは正しかったようですね♪』
ここでサグメは得意気に勇美達に言ったのだった。まるでどこぞの火消しのウィンドみたいな台詞を吐くサグメであったが、今回ばかりはその事を責める者はこの場にはいなかったのである。
そう、このカレーのお供にお冷やを考案したのは、他でもないサグメであったのだ。確かに味噌汁でカレーを食べるのが平気な者は多いが、だからと言ってカレーをお冷やで飲む事を嫌う人は少ないと思っての事なのであった。
このように、サグメは多数派を優先する事よりも、少数の否定派への考慮を欠かさないマメな性格でもあるのだ。
「さすがはサグメさんですね、欲を言えば牛乳だと尚ベストだったんですけど、高望みはしませんよ♪」
『ごめんなさいね、月に牛はいないものですから』
基本的に月の都は生命を拒絶した場所であるのだ。故に、兎や小鳥などの小動物はいるが、牛のような大型の動物は月の民が望まないのだ。──何故なら『穢れ』を生み出してしまうのだから。
その話題になった事で、サグメはここで言っておかなければならない話を持ち出そうと思い立った。
だが、まずはこのカレーを抜かりなく食すのが先だろうと思い、サグメはその事に集中する。ちなみに、このカレーはサグメのお手製だったりする。月の頭脳たる永琳の手解きは弟子の料理の分野にまで及んでいるようだった。
そして、皆に愛される味の帝王たるカレーを食した一同を見届けて、サグメは言葉を発し始めた。
『勇美に鈴仙、これから話を進めて行きますから聞いて下さい』
「はい」
そのサグメの発言に勇美は素直な返事をする。そして、それに反対する者はこの場にはいなかったのだった。
『今、月の都がこうして凍結状態にされている理由を話しておかなければなりませんね』
そう言ってサグメは現状の説明を始めたのだ。
まず、月の都はある者の侵略を受けて、月の民にとって毒である生命の力で覆われてしまったとの事。
そして、その月の民はドレミーに頼み込んで夢の世界へと移転させられているのである。勿論急な要請だったので
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