第三章 リベン珠
第16話 いざ、月の世界へ
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、勇美は自然と顔が綻ぶのだった。
こうして弾幕ごっこの果てに友情が芽生えた事も含めて、ドレミーは紫に色々と似ているものがあるなと微笑ましい気持ちとなるのだった。仕事に対する熱意は雲泥の差だとは思いながらも。
「では、私も行きますね。何やら月で大変な事が起こっているみたいですし……」
「お気を付けて行って下さいね。それでは、あなた達に吉夢があらん事を……」
「いえ、私は寧ろとびっきりの淫夢をお願いしたいです」
「まだそういう事言うか!」
言うと鈴仙はむんずと勇美の襟元を掴むと、そのまま彼女を引き摺りながらこの場を後にしようとするのだった。
「は・な・せ! いや、離して下さい鈴仙さん。私にとって淫夢は死活問題な訳でして!」
「いいえ、倫理的に問題があるからさせません。それではドレミーさん、色々ありがとうございました」
「え、ええ……お気を付けて……」
相方に引き摺られて勇美を尻目に見ながら、さしものドレミーも呆気に取られながら見送るしかなかったのだった。
そんなしょうもない茶番劇を繰り広げながらも二人は無事に旅路に着いたのである。
ちなみに勇美はもう引き摺られてはいない。途中で鈴仙が引き摺っていると、その短い着物の中から下着が見えかねないと判断したからである。改めてこの勇美の服装は際どいものだと鈴仙は再認識するのだった。
そして、下着が見えそうになった事を勇美に伝えると彼女は『やっぱりパンツじゃなければ恥ずかしくないんですよ』と、ここぞとばかりにノーパンになる機会を逃すまいと喰らい付いて来たのだが、当然鈴仙はそれを丁重に断ったのだ。
そういう訳で、無事に勇美は再び自分の足で歩き始め、加えて断じてノーパンにもなりはせずに鈴仙と一緒に秘密の通路の残りを歩き進んでいた。
「勇美さん、もうすぐで出口ですから、あと一息ですよ」
「それは良かったです」
鈴仙に言われて、勇美は素直にそう答えるのだった。
確かに夢の領域であるこの通路は見る目を楽しませてくれた。だが、現世に住まう者としてはやはり長時間滞在すれば気が触れかねないものが確かに存在するのである。
だから、今はこの世界からはいち早く脱出を試みたかった訳なのだ。──例え、この先にある世界も未知の領域であったとしても……である。
そして、二人が目指す所は徐々に近付いて来たのだった。
それはまごう事なき様々な絵の具をない混ぜにしたような壁──秘密の通路の出口である。
「勇美さん、着きましたよ」
「いよいよって訳ですね」
鈴仙に言われて、勇美はゴクリと固唾を飲んでしまう。いよいよこの先に待つのは月の世界なのである。故に彼女の緊張も一入という訳だ。
勇美は確かに以前に月へと来た事はある。だがそれは豊姫の能力により瞬時に行ったのだ。それに対して今回は鈴仙
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