第三章 リベン珠
第15話 THE LUST 4/4
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「やっぱりそのワニが出てくる訳ですか?」
その真実に、やるせない心持ちとなりながら項垂れる鈴仙。そう、二人の目の前にあったのは。
「はい、ご察しの通り、『メタル・クロコ』。再度お出ましですよ♪」
そう、鈴瑚戦で散々シュールな光景を繰り広げた鋼鉄の鰐、メタル・クロコはここに見参したのであった。
対して、鈴瑚の時の事を当然知らないドレミーは何事もなく対応していた。
「何をする気かは知りませんけど、さっきの攻撃をもう一度受けて無事にはいられないでしょう」
「だから、させませんって。お願い、メタル・クロコ!」
勇美がそう指示を送ると、鋼鉄の鰐はおもむろに動き出し、自分の片方の鼻の部分を押さえたのである。
「一体何を……」
「いきますよ! 【剣符「クロコ・伸ばす毛」】!!」
その宣言の次の瞬間、鰐の片方の鼻から──鞭のようにしなる鋼鉄の鼻毛のような何かが一気に打ち出されたのだった。
「何か色々マズいですよそれ!?」
そのドレミーのツッコミ通り、スペル名から行動まで色々問題があるのだった。はっきり言って異様な空気が辺りを支配していたが、ドレミーは冷静に事に対処しようとしていた。
「でも、攻撃事態は単調な鋼鉄の鞭ではないですか。それをかわせない私だと思っていますか?」
「その事も折り込み済みですよ。では鈴仙さん、お願いします」
その勇美の言葉に鈴仙は同意するのだった。いくらツッコんでも足りない存在であるが、それでも協力する気概は彼女にはあったのである。
鈴仙は狂気の瞳の力を込めると、一気に鞭の軌道が変わったのだった。それにドレミーは驚愕する。
「!?」
そして、その軌道の変化は一度や二度ではなかったのだった。再三に渡り鞭の軌道は変わりながらドレミーへと迫っていったのだ。
「しまっ……」
これにはさすがのドレミーも対処出来なかったようだ。そしてとうとう彼女は鋼鉄の鞭の連打にその身を刻まれてしまった。
「ぎゃああああ!!」
その猛攻を受け、ドレミーは取り敢えずそう叫んでおいた。鰐という事で『ぐわああぁぁ』しようか迷った所だが、鼻毛にやられるという事でこの叫びにしておいたのだった。
そして、ドレミーは倒れゆく中でこう思った。──強力な攻撃だけど支離滅裂だと。相方である筈の鈴仙が引いている訳がよく分かった……と。
そうやるせない心持ちのまま倒されたドレミーは、そのまま宙からその身を地面に伏すのであった。
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