第三章 リベン珠
第15話 THE LUST 4/4
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ないだろう。
だが、それは容赦なく二人をすっぽりと包み込んでしまったのだ。無理もないだろう。風の速さで迫る攻撃に、目で見ながらそう易々と対処出来るものではないからだ。
黄金の暴風が二人のいた場所を完全に飲み込むと、それでも物足りないと言わんばかりに床を容赦なく抉り始めていったのである。見えないが屈強な造りの筈の床にはみるみるうちにしてヒビが入ってしまった。
ドレミーがミニの浴衣という開放的な出で立ちとなり、それにより増幅される色欲の力を最大出力で放出する『檸檬色のラストハリケーン』。
それにより大惨事を巻き起こした暴風であったが、それも漸く収まったようだ。そして、嵐が過ぎ去った場所をドレミーが見据え──違和感に気付いた。
その抉られた辺りの地面には、人一人の姿すら確認出来なかったのだ。もしかしたら、今の一撃で二人は跡形もなく消し飛んでしまったという事だろうか?
「いや、それはマズい」
ドレミーはそこで誰にともなくツッコミを入れておいた。何故なら弾幕ごっこは命の奪い合いではないからだ。ましてやドレミーはその事を踏まえて出力は調整していたのだから。
しかし、加減を間違ってしまったが故の事故であろうか。弾幕ごっこは殺し合いではないとはいえ、全く死者が出ない訳ではないのだから。
だが、その答えはNOである事はすぐに判明するのだった。おもむろにドレミーは後ろを振り返っていた。
「まさか、背後を取られるなんてね」
ドレミーは頬に脂汗を一滴垂らしつつも、平静を装って言う。それに対して、五体満足の状態で彼女のバックを取っていた者の内の一人である鈴仙は口を開いた。
「ええ、間一髪でしたが『私達の軌道を変える』事で対処出来ましたよ」
「……さすがは狂気の瞳と言った所ですか」
感心と焦燥の入り交じった心持ちで呟くドレミーの指摘する通り、鈴仙の狂気の瞳の力で自身と勇美を瞬時に移動させて暴風から回避して事なきを得たという事なのである。
「ですが、二度は同じ手は通用しませんよ! 檸檬色の……」
「そんな危ない攻撃は二度もさせませんって!」
売り言葉に買い言葉。ドレミーが勇美達を窘めようと放とうとした言葉は勇美の言葉により遮られてしまった。
「『金山彦命』に『セベク』様に『ナーガ』様、この勝負を決める最後の仕上げを任されて下さい」
勇美はここで勝負を決めるべく、新たに三柱の神々に呼び掛けたのである。
「……」
その神々の名を聞きながら鈴仙は嫌な予感がしていた。今朝方鈴瑚と戦った時のような、理不尽な存在が再誕するのではと思うのだった。
そして、三柱の神々が勇美の半身のマックスへと取り込まれて光を放つ。その最中鈴仙は思った──どうか自分の予想は当たりませんようにと。
やがて収まる光。──だが、現実は非情なようであった
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