第三章 リベン珠
第15話 THE LUST 4/4
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は四の五の言わせる算段はないようである。
「それでは、失礼!」
そう言うとドレミーは目を閉じて念じると、彼女の周りが眩い光に包まれたのだ。それを勇美は何度も見た映画のようにさぞかし面白くなさそうに傍観していた。
そんな勇美の心境を余所に、ドレミーの神掛かった着替えはここに終了したのだった。
「まあ、どんなお召し物になったか、見るだけ見させてもらいますか?」
「「何その上から目線!?」」
勇美のそのふてぶてしい物言いに他の二人は引き気味になりながらツッコミをいれる。だが、その時に勇美は『気付く』のであった。
「あ……」
言葉にならない声を勇美は喉の奥から絞り出した。そして、暫しの沈黙が走り……。
「さ、最高ですドレミーさぁ〜んんん!!」
勇美の様子はここに豹変したのだった。当然鈴仙は彼女のその異様な振る舞いに何事かと目を見張り、続いてドレミーの方へと視線を送り──「ああ、成る程」全て合点がいったようであった。
鈴仙がそのように達観した心持ちとなるのも無理はなかったのだ。何故なら、それは勇美の趣味にクリーンヒットしていたからである。
まず、ドレミーの今の格好は薄黄色の浴衣であったのだ。夢の世界の住人たる彼女は、衣装変更しても寝間着に近くなるのはもしかしたら自然の摂理なのかも知れない。
だが、問題なのはその浴衣の構造であった。それは、丈がミニスカート位の代物となっていたのである。
「最高ですドレミーさぁん♪ ミニの着物やふー♪」
その事に、やはり勇美の興奮は隠し切れないようだ。その異様な相方の振る舞いに、鈴仙は釘を刺すような心持ちで言う。
「勇美さん、何で興奮するのですか? あなたも今してる普段の格好そのものじゃないですか?」
その言葉を聞いて勇美は「ちっちっち」とふてぶてしい態度で指を振る。
「分かっていませんねぇ〜鈴仙さん。あれは『私以外の人が着てくれたから』こそ価値があるってものなんですよぉ〜♪」
曰く、『自分でその格好をしても自分自身には萌えられない』だそうだ。そして、例を挙げると荒木飛呂彦先生が『自分の作品は読めない』と発言した事と同じニュアンスだと。
──取り敢えず話が長くなりそうなので、鈴仙はここでこの話題を打ち止める事にした。某奇妙な冒険の作者の事まで話題にされるとか、ディープな内容にも程があるからであった。
「まあ、そういう訳ですドレミーさん。余り内の相方に変な刺激を与える事は控えて下さいませんか?」
「これは失礼しました」
そう言ってドレミーは右腕を前に出して紳士的に深々をお辞儀をする。その動作だけで今の彼女の浴衣から覗く脚線がそそられるのであった。ミニの着物の魅力とはこういう所にあるのだというのは勇美の弁である。
「ですが、少しばかり多めに見て欲しいですね。私の最後のス
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