第三章 リベン珠
第14話 THE LUST 3/4
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るのである。
「何だか知りませけど、次のスペルを受けてもその余裕を見せていられますか?」
言うとドレミーは新たなスペルカードを取り出す。
「ここで次のスペルですか……」
その事に鈴仙は驚く。ドレミーは今しがたスペルカードを発動してこの空間を造り出したばかりだというのに、すぐに別の手が追加されるというのか。
「はい、紺色の狂夢はあくまで直接攻撃をしない補助的なスペルです。そこから次に出るには別のスペルを使う必要があります。……相方の方は驚いていないみたいですね」
ドレミーは丁寧に説明しながらも、至って落ち着いている勇美に気付くのだった。それに対して勇美は答える。
「ええ、それも私の友達が取った手段にそっくりなんですよね。驚いた事に」
「その友達と私……、何か無関係には思えませんね」
ドレミーはそうしみじみと呟くのだった。夢の世界の支配者という大それた役職にある自分にも分からない事があるのだと思うと、どこか感慨深くなるのである。
それはともあれ、今はこの勝負に勝って自分の責務を果たすだけである。それは『自分だけ』の問題ではないのであるが、その事については今は話題にすべき時ではないだろう。
そして、ドレミーは次なるスペルの発動の為に言葉を発する。
「大したものですよ、あなた達は。本当はこのスペルの発動は予定していなかったんですけどね。でもまあ、行きますよ【水星「樺色のアクアブレス」】」
宣言の後にドレミーは大きく息を吸い込む。それにより彼女のネグリジェから除く肉の谷間が艶かしく強調されてしまい、勇美の春に染まった脳にいらない刺激を与えてしまったが、それは些細な問題というものだろう。
ドレミーは構わずに、今度はその吸い込んだ息を大きく吐き出したのである。──勿論それがただの吐息になる筈がなかった。
彼女が吐き出したその息は、無数の大きなオレンジ色に近い色の泡の群れであったのだ。それらはどんどん距離を勇美達へと詰めていく。
だが、今まで様々な攻撃を掻い潜ってきた二人である。今更このような単調な攻撃に当たってあげる道理はなかったのだ。
「余裕でかわせますよね、鈴仙さん♪」
「そういう事ですね♪」
二人は弾むように言い合いながら、これまた流れるような作業でオレンジの泡の流れを避けていった。
しかし、攻撃をかわされたにしてはドレミーの様子は別段取り乱してはいなかったのだ。
一頻り泡の吐息を繰り出したドレミーはどこか余裕の態度でこう言う。
「さすがはお二人さんですね。でも、『ここがどこだか』忘れてはいませんか?」
「「?」」
そのドレミーの言葉に二人は首を傾げながらも、言われた通りに辺りに目を向け──そして気付いてしまった。
今この場所は歯車の要塞の中である。そしてそれらは無論精密機械である。その
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