第三章 リベン珠
第13話 THE LUST 2/4
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あっ!」
そして、勇美は勇ましく手に持った仲間の力を借りた赤き光の剣にてとうとうドレミーのいるだろう茂みへと振りかざしたのだった。
瞬間、バサリと草が刈られる小気味の良い音がする。これでドレミーをやったのだろうか?
「……」
いや、無言になり違和感を覚える勇美のその態度が事を物語っていたのだった。──それはつまり、『手応えがなかった』という事である。
「どういう事……」
その勇美の呟きが辺りに響きながら、草の刈られた場所が開けて視界が見えて来たのだった。そこにあった光景を見て勇美は驚いた。
「ドレミーさん、そんな事が出来たんですね……」
驚きながらも彼女は敵が今しがたこなした対処に感心もしたのだ。
ドレミーがした事……、それは彼女の前方を満遍なくスライムのようなゼリー状の半透明の物体が覆い、勇美の剣戟を余す事なく包み込ませていたのだった。
「これで、追撃のチャンスは奪われたって事ですねぇ……」
そう言って勇美は敵の反撃に備える為にも、折角見出したドレミーから距離を取って体勢を整えたのであった。
「折角の止めのチャンスを奪ってしまって申し訳ないですね、そして距離を取ったのは英断ですよ」
もしこのまま斬り込んで来たなら、『これ』で絡め取ってしまおうという算段だったとドレミーは正直に勇美に打ち明けたのである。
「ああ、怖いですねぇ。でも、それって一体何なんですか?」
「いい質問ですね、それではお教えしましょう」
そう言ってドレミーは好奇心旺盛に積極的に授業に喰い付く生徒を相手にする教師のような心持ちで説明する。
「これは、生き物が見る『夢』のエネルギー体そのものですよ。私は夢の世界の支配者故に当然それも取り扱う事が出来るというものです」
「分かったような、分からないような、ですね」
勇美はポリポリと頬を掻きながらそう正直に打ち明けた。聞いて原理は分かったものの、それを当然のように操ってしまうドレミーの手腕には実感が沸かないのだった。
その言葉を聞きながら、勇美はチラリと相方の方を一瞥しながら言った。
「ごめんなさいね鈴仙さん、折角あなたの協力して作った攻撃をしておきながら決定打に出来なくて」
「いえ、勇美さんは気にしないで下さい。今回が駄目でも、まだ次のチャンスはあるんですから。その為には私は幾らでも力を貸しますよ」
「ありがとうございます、とても心強いですよ♪」
やっぱりこの兎さんと組んでいると、とても頼りになる。そう勇美は改めて思うのだった。
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