第三章 リベン珠
第13話 THE LUST 2/4
[5/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
のドレミーが再誕していたという事である。
「ドレミーぃさぁぁぁん♪」
当然これには歓喜しない勇美ではなかったのだった。一度失われた物が再びその手に戻って来る事、人が最も喜びを感じる概念の一つであろう。
「元の姿に戻ってくれたんですねぇぇぇー!!」
勇美のその鬼気迫る程の勢いにも、ドレミーは動じずに言う。
「ええ、まあ。夢の世界の住人という事もあって、私にはこの姿がおあつらえ向きですからね」
それはさておき、とドレミーは続ける。
「こうして馴染む姿に戻った事ですし……次行きますよ」
言ってドレミーはまたしてもその開いた胸元からスペルカードを取り出したのだ。何気に彼女自身、先程のカウガール姿は窮屈であり、こうして開放的な格好の方が馴染むようである。
その行為が勇美にいらぬ刺激を与えてしまっているのだが、それはドレミーの天然か故意犯かどちらであろうか。
それはともあれ、彼女は取り出した新たなスペルカードの宣言をする。
「【夢符「刈安色の迷夢」】」
すると、突如として周りの空気が変わったのである。何が起こるのかと身構える二人。
次の瞬間、地面がムクムクと蠢くと、そこから一気に草が出現したのである。
それにより凍り付いた水の触手は瞬く間に砕けてしまったのだった。その光景に勇美は、不謹慎ながらも目を奪われてしまう。
「綺麗……」
勇美は思わずそう呟いた。草の息吹きにより砕けた氷がキラキラと宙を舞う様は、正に芸術的であったからだ。
「美しさを追求する弾幕ごっこですからね……所謂ファンサービスさせて頂きましたよ」
「えっ!? ドレミーさんってそんな『相手に希望を見出ださせて、それを完膚なきまで打ち砕く』ような事が趣味だったんですかぁ!?」
「いや、そのファンサービスではありませんから安心しなさい」
そのファンサービスは余りにも狭義的な意味だとドレミーはツッコミを入れておいた。
「さて、お喋りはこの辺にしておきましょう。──周りを見てご覧なさい」
「「!」」
そう言われて勇美と鈴仙は気付いたのだった。この領域全体が高くそびえる草々で覆われてしまっていたのだ。
「どうですか? この迷夢のお味は?」
「すごく……高いです……」
「またそういう事いいますか!?」
どうしてこの人間の発想はこうも卑猥な話題に行き着くのか。ドレミーは呆れるしかなかった。
「ごめんなさいね、この子いつもこうなんですよ……」
取り敢えず鈴仙は、申し訳なさそうに謝っておく事にした。
「あなた……色々苦労しているのね……」
ドレミーは鈴仙に同情しておく事にした。そんな彼女の目には心なしか鈴仙の耳のしわしわくしゃくしゃ加減がより一層深く見えたのだった。
それはさておき、今の現状へと話を戻そう。勇美達の周囲を囲んだ高い草
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ