第三章 リベン珠
第13話 THE LUST 2/4
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故に、鈴仙の狂気の瞳では対処出来ないという事である。エネルギー弾だけなら、人型の者が発射するが故に人の速度で扱われる物に対処出来ると言えよう。
だが、こうして馬の速さで移動しながらとなると、当然相手にするのは馬という事になるのだ。あくまで対処が容易なのは人の速さの者であるという狂気の瞳の盲点を突かれた結果と言えよう。
そして、もう一つの事に二人は気付くのだった。それは、弾幕ごっこの為に広げられたこの空間そのものである。
確かにこれは皆が存分に戦えるスペースの確保の為である。だが、こうしてドレミー自身が馬に乗って戦うに敵う空間の確保があった事も否定出来ないだろう。
実にしたたかな存在だと鈴仙は思った。やはり、夢の中で一番警戒するに値する獏が故だと改めて感じるのだった。
こうして二人はドレミーの技術と策略によって追い詰められていったのだった。
しかし、ただ追い込まれる勇美ではなかった。何せ、彼女もしたたかさでは負けない存在であったからである。
「鈴仙さん、ここは私に任せて下さい」
「勇美さん、何かいい考えがあるの?」
鈴仙は期待を込めて勇美に聞きながら思う。やはりこの子は基本的に頼りないながらもここぞという時に見せてくれる存在だと。そして、ここで彼女は仲間の大切さを改めて実感するのだった。
「ええ、見ていて下さいね♪」
そう言って勇美は得意気に前へと踊り出て、いつも彼女に力を貸してくれる神々に心のメッセージを送った。
「『マーキュリー』様に『ドライアード』様、お願いします」
彼女が想いを送ったのは水の神に、ここにて初めて呼び掛けられる木の精霊だった。
この二つの存在の力が勇美の分身たる機械の『マックス』へと取り込まれて行く。それは彼女の関係者なら見慣れた光景だろう。
だが、ドレミーは当然それを見るのが初めてであったのだ。故にさすがの夢の世界の支配者たる彼女とて驚愕に値するだった。
「……何て珍しい能力ですか。夢の世界でもそうそうお目に掛かれるものではありませんよ」
「しかし」とドレミーは言い、続けた。
「それでもこの今の馬と一体の私の攻撃から逃れられはしないでしょう」
言いながらドレミーは勇美達に再度狙いを定めて、照準を絞るように彼女達を見据えるのだった。それを馬に乗りながらであるから、ドレミーが如何に器用かが伺えるというものだろう。
「では、お覚悟願いますよ!」
そうドレミーは勇ましく言うと、いよいよを以て勇美と鈴仙にその狙いをきっちりと定めたのである。
だが、最早時遅しだったのである。
「もう準備は出来ていますよドレミーさん。【水蔦「ハイドロソーン」】♪」
言って勇美は指とパチンと鳴らせ……はしなかったのだ。やはり勇美では鳴らないのだった。
「ううう……、鳴る人が羨ましいです
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