第三章 リベン珠
第11話 イサミ・クロガネと秘密の通路:後編
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攻撃して来るんですか!?」
「あ、ごめんなさい。どうも何やら事態はややこしい事になっているようね」
鈴仙は謝りつつも今の状況が如何程のものか思いを馳せるのだった。だがそれはさておき、やる事は決まっている。
「勇美さん、やりましょう」
「はい、鈴仙さんのお知り合いの物でも、私達の旅を邪魔する物は地獄に送っておくまでですね♪」
そう二人は言い合うと、同時に自前の銃を引き抜き、その機械に反撃の暇すら与えずに撃ち抜いてしまったのだ。
金属音と爆音を辺りに響かせて四散する物体。その後散り散りになった物体のパーツは辺りに散らばる事なく砂のようにかき消えていった。
それを見届けた勇美はふぅーと銃口に息を吹き掛ける仕草を見せた。──このプレアデスガンは別に煙を吹きはしないのにである。要は気分なのだ。
「私達の邪魔をする者はこうなるんですよ♪」
「何なのこの展開。……ギャグ?」
やたらとノリのいい勇美と、空気の流れがおかしい事に頭を抱える鈴仙がここには存在するのだった。
そして、ささやかな邪魔者が存在したものの、二人は再び異空間の通路で歩を進め、またも『例』の光景を目の当たりにしていたのだ。
それは、この通路に入る時にも見た、絵の具をごちゃ混ぜにしたかのような色彩の入り口であった。
「……また、この中に入るんですよね……」
先程のガンマン気取りの時とは対称的な、乗り気ではない態度の勇美がそこにはいた。
「仕方ないですよ。月へ行く為には避けては通れない所ですからね」
「う〜ん、仕方ないって事ですよねぇ〜……じゃあ行きますか」
鈴仙に諭されて、勇美は渋々ながらもその身を鈴仙と共に空間の歪みへと投じるのだった。
◇ ◇ ◇
「うん、やっぱり気持ちいいものではないですね」
「仕方ないですよ。未だに私も余り慣れてはいない位ですからね」
異空間の通路の途中の扉を抜けた後の二人は、口々にその生理的に受け付けない感触の愚痴染みた感想を言うのだった。
だが、次の瞬間勇美はそれどころではない衝撃を受ける事となる。彼女は辺りを見回して、気付いてしまったのだった。
「うわあ……」
彼女が驚くのも無理はないだろう。何せ、見えない壁で覆われた通路から覗く光景が、先程までの宇宙空間から一変し、辺り一面雅やかな花畑が広がっていたのだから。
思わずそこで寝転んで風と陽に当たりたくなる衝動を覚える程の魅力はそこにはあった。もっとも、この通路から出る事は出来ないのであるが。
取り敢えずは、この異常な光景が意味する所を勇美は鈴仙に確認する。
「鈴仙さん? ここって宇宙空間ですよね?」
「厳密には少し違うわね。確かにここは地上と月を繋ぐ空間だけど、真っ当な宇宙空間というよりは、夢の世界、はたまた精神世界っっていった方がいいかも
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