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戦国異伝供書
第百二十五話 誘い出しその八

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「龍造寺殿ですな」
「あの方がおられます」
「ではですな」
「これより」
「うむ、敵が攻め寄せてくれば」
 一本道を駆け進んできてだ。
「そこでじゃ」
「一斉に鉄砲を撃つ」
「そうしますな」
「そして柵に近寄らせぬ」
「そうしますな」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「よいな」
「時が来れば」
「法螺貝を鳴らし」
「そして伏兵を動かす」
「そうして攻めますな」
「そうじゃ、それで敵を散々に乱し」
 そしてというのだ。
「そのうえでな」
「さらにですな」
「そこで柵の門を開ける」
「そのうえで一斉に攻める」
「そうするのですな」
「そして敵を散々に破るぞ」
 こう家臣達に言ってだった、義久も自ら馬に乗り刀を抜いた。そのうえで今まさに龍造寺家の軍勢が来るのを待ち。
 彼等が柵に向かって一本道を駆けて来るのを見た、そして敵が鉄砲の間合いに入ったところで刀を振り下ろした。
「撃て!」
「わかり申した!」
 すぐに返事が来てだった。
 鉄砲が轟音を噴いた、その音と弾が今まさに柵の門に迫っていた龍造寺家の軍勢の先頭の者達を倒し。
 そしてだ、さらにだった。
 二撃目を放った、そこからさらに。
 また放った、龍造寺家の軍勢は続けてそれこそ間断なく撃たれる鉄砲に浮足立った、それで戸惑っているところで。
「今じゃ、鳴らせ!」
「わかり申した!」
「それでは!」
「今より!」
 すぐに法螺貝が鳴らされた、そしてだった。
 今度は繁みに沼地、海の船からも鉄砲も放たれた、これで龍造寺家の軍勢は戸惑いから乱れになった。 
 そこに義久は鉄砲を敵から見て正面からだけでなく左右それに後ろからもさらに撃たせた、すると遂にだった。
 龍造寺家の軍勢は壊乱した、ここで義久はさらに告げた。
「皆で切り込むぞ!」
「鉄砲を駆けて撃ちつつ」
「そしてですな」
「刀を抜いて切り込む」
「槍も突き立てて」
「そして敵を崩し」
「一気に破るのじゃ」 
 そうするというのだ。
「よいな!」
「承知!」
「ではそうしましょうぞ!」
「ここが勝ちの時!」
「行きましょうぞ!」
「これより!」
「そうじゃ、行くぞ!」
 義久は馬を駆った、そしてだった。
 島津家の軍勢は全軍で攻めだした、そこに有馬家の軍勢も揃ってまさに全軍で一気に攻めた。これで龍造寺家の軍勢は完全に崩れ。
 次々に討ち取られていった、その中で。
 義久はその報を聞いて思わず問い返した。
「それはまことか」
「はい、又七郎様の手の者がです」
 旗本の一人が義久に答えた。
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