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渦巻く滄海 紅き空 【下】
四十五 因縁の相手
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まま、鋭利な杭を取り出した飛段の隣で、フードの人物は腕を組んだまま、沈黙を貫いていた。
その腕組みの中で、秘かに印を結んでいる事には、誰も気づかない。



「どうでもいい。さっさと終わらせろ」
「つれないねぇ…」

そこもいいんだけどな、と邪神様主義の飛段は、フードの相手の催促に素直に応じて、杭を己の胸に突き立てようと、その腕を振り上げた。




「邪神様の裁きだ…!!ありがたく、下りやがれ!!」
「やめろおぉおぉ────!!!!!」







シカマルが叫ぶ。
地面を蹴り、影縫いの術の印を結ぶのも忘れて、ただただ叫ぶ。


助けようとしたその手は、しかし、届くことはなかった。


























杭が突き刺さる。
同時に、アスマの動きが止まった。

そのまま、ぐったりと倒れ伏した師を、シカマルは、コテツは、イズモは、ただただ、呆然と見下ろした。


「終わったのなら、とっとと行くぞ」

冷然とした佇まいで、フードの人物が飛段を促す。
いつもなら殺した余韻に浸るところ、その声に従った飛段は心臓を突き刺した杭を素直に抜き取った。
不死の身体故、アスマと違って、ピンピンしている飛段は「おい、角都!!」と再不斬と対峙している相方を呼ぶ。


「邪神様がお呼びだ!こんな連中、ほっといて撤退すんぞ!!」
「いや、呼んでいるのはペインのほうなんだが…」

フードの人物の呟きをよそに、飛段は角都に向かって声を張り上げる。

「角都!!邪神様の言う事が聞けねぇのか!?」
「煩い。そんな大声で喚かなくとも聞こえている」

鬱陶しげに返事を返した角都は、しかしながら、フードの人物の声にはピクリと反応した。

「角都」
「……ああ」

フードの相手には素直に返事をした角都に、飛段は我が物顔でうんうんと頷いた。


「角都も邪神様の偉大さにようやく気づいたようだな!!」
「黙れ。お前と一緒にするな」

不死コンビのやり取りに、フードの人物が眉間を指で押さえるかのような仕草をする。
緊張感の欠片もない空気なのに、けれどその間に割り込めば命はない事を、イズモもコテツも、そしてシカマルも理解していた。


「そういうことだ。次、俺に会うまで殺されるなよ、桃地再不斬。お前は賞金としても上等だが、」

念を押すような物言いで告げた後、値踏みするかのような眼で、角都は再不斬を見やった。


「水遁の使い手としても上等だ」
「何が言いたい?」
「なに。貴様の心臓は俺が貰い受ける。それだけの話だ」


片眉を上げ、怪訝な表情を浮かべた再不斬は、飛段がいるほうへ身体
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