T La bambina da I'ARIA…
第013弾 魔術師の対峙
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故に私は回避でなく、振り向く勢いのまま小太刀を振るい──柄がにっくきアンチクショウの鼻っ柱にクリーンヒットした。
心結びで通常より速度の乗った一撃をまともに喰らい、潤は受け身も取れず吹っ飛び、電柱に激突する。潰れたカエルみたいになったぞ、ナニコレ。ワケわかんないんですけど。
「……潤さん、何やってるんです?」
天音が明らかに演技ではない呆れた様子ながら駆け寄る姿を、私は心結びで昂った動悸を鎮めつつ、推測を口にする。
「……もしかしてあの分身、自分のスペックを割くものだった?」
そう予測を立てる。幾らイ・ウー最弱を自称してるからって、さっきの動きは並の武偵かそれ以下の動きだったし。
「〈ええ……バカなの? 〉」
「(私もそう思う)」
さっきまで焦っていた瑠璃も、間抜けな急展開に困惑している。何この空気。
あの野郎、さてはシリアスブレイカーだったっけ。いや、間違いないわ。
「おおお、鼻骨完全に折れてやがる……」
「……とりあえずティッシュを。潤さん、見せられる顔じゃないですよ」
「いやそれじゃ治らんから。とりあえず止血用には欲しいけど」
ゴキン、とやたら痛々しい音を立てて折れ曲がった鼻の位置を自分で元に戻す潤。戻した勢いで余計溢れてきたけど、鼻血。
「うわあ……」
「引くなよ」
「いや引くでしょ。今最高にカッコ悪いけど、あんた」
「格好つけて死ぬくらいなら、多少の恥は許容すべき」
「今のあんたの状態だと、説得力が凄いわね」
女子に介抱されながら鼻血拭ってるとか、間抜けにもほどがある。完全に鼻声だし。
これ程の有言実行を見た事があろうか。
遠山潤、ある意味で末恐ろしい奴である。
「〈……あ、凪優。周りの分身が消えたよ。多分、治療のために魔力足りないから、戻したんじゃないかな〉」
「(……自分から有利な状況捨ててない?)」
「〈だねえ……バカかな? 〉」
「(頭のいいバカってやつだと思う)」
もう戦う雰囲気じゃなくなり、瑠璃とそんな雑談を交わしていると、やっぱり聴き取れてるのか潤はジト目を向けてくる。いや事実でしょ、というか人の会話(心中)を覗くんじゃない。プライバシーの侵害で訴えてやるかんな?
「とりあえず、器物損害と傷害罪諸々で逮捕するから、大人しく連行された方が身のためだよ? あと車は弁償してもらうから。慰謝料とか諸々マシマシで」
「弁償の方がガチボイスな件」
「潤さんのせいで不利になりましたけど……どうします? ボクじゃなくて、潤さんのせいで」
「二度言わんでいいわい、知ってるから。目的達成したし、逃亡一択で──え、ちょっと天音さん、何故俺はお米様抱っこされてるんです?」
「潤さんに合わせて逃げるより、魔術込みならこっち
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