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緋弾のアリア ―瑠璃神に愛されし武偵―
T La bambina da I'ARIA…
第013弾 魔術師の対峙
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「潤さんに『お願い』された以上、ボクに断る権利はありませんし、断る気もありませんから」

 大鎌を両手で抱えるように握る彼女の目は本気で、退く気はないようだ。

「……なにあなた、潤に脅されでもしてるの?」
「(瑠璃、一度戻って。あと、第一形態開放準備)」
「〈おっけー、あと十秒で準備は整うよ〉」

 会話で時間を稼ぎつつ、瑠璃との融合準備を進めていく。天音は気付いていないのか、形のいい眉を僅かにしかめ、

「脅す? 潤さんはそんな非効率的なことはしませんよ。……これは地獄のような状況から救ってくれたあの人への恩返しであり、ボクの意志です。ええ、もし潤さんが命じるなら、この命だろうと喜んで捧げましょう。例え万人が、いえ、潤さんが命の尊さを訴えようと──ボクにとって、彼の『お願い』は何よりも優先され、幸福なことなんですから」

 何の迷いもなく言い切る姿は、狂信者のそれに近いものを感じさせる。
 ……自分の意志だとしても、遠山潤は人を狂わせてるね。
 私は推測が確証に変わった。

「そう。じゃあそのお願いとやらは──達成できないな!」

 瑠璃との『心結び』が終わった私は、叫びながら小太刀二刀を構え、突進する。
 それに反応して、天音も構えを取るが──その動きは、瑠璃と心結びを行った私に比べ、明らかに遅い。

(もらっ──)

「!?」

 あと一歩というところで、強化された聴覚が左側からの音を感知する。

「ちいっ!」

 私は舌打ち混じりに咄嗟に持ち替えた拳銃、マテバオートリボルバーを片手撃ちし、飛んできた7.62mm弾にぶつけて弾く。

「〈ど、どういうこと!? 〉」
「(瑠璃、状況説明!)」

 狼狽した様子の瑠璃を落ち着かせるため、敢えて強めの口調で説明を促すが、

「足を止めるのは、悪手ですね」
「くっ、この!」

 銃撃の間に迫ってきた天音が、上段から鎌を振るってきたので、残った小太刀によって受け流す。
 思ったとおり、格闘戦では私の方が遥かに上だが、

「ああもう、鬱陶しい!」

 確実に当たる一撃を振るおうとしたその瞬間、今度は真正面、天音の後ろから飛来した弾丸に妨害される。

「〈凪優、あいつの気配がそこら中からする! 1、2……9!? ちょうど私達を囲んでる形! 〉」
「(はあ!? 何あいつ、分身でも出来るわけ!? 何でもありか!?)」

「さて、もう隠れる必要はなくなったし。遠慮なくいきますか」

 その声と同時に気配が浮かび上がった。
 おそらくは気配遮断をやめ、再びHK417を構えたのだろう。 
 別方向からの分身が、私が放った銃弾を再び叩き落とす。
 ……あの野郎のこの戦法、ストレス溜まるって中々の評判だったっけ。

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