第百九十二話 港を見てその八
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「その江戸も小田原も結構な勢力だが」
「あくまで結構でな」
「江戸の方は武蔵、小田原は相模でな」
「それぞれ一国を治めていてもな」
「そこまでだ」
それ以上ではないというのだ。
「それ以上ではない」
「そうだな」
「そしてこの二つの家以外はな」
「一国を治める勢力はないか」
「それぞれの国で幾つも分かれていてだ」
「争ってるんだな」
「そうした状況だ」
それが東国だというのだ。
「文字通りの群雄割拠だ」
「なら江戸を手に入れるとな」
「武蔵もだ」
この国もというのだ。
「手に入れることになる」
「大きいな、では江戸の取り込みもな」
「これからだな」
「進める」
その様にするというのだ。
「そうする」
「ではな」
「そしてだ」
「江戸からも東国を攻めていく」
「そうする、江戸城なら十万の兵を普通に入れられる」
そして攻める拠点に出来るというのだ。
「それだけの大きさだ」
「しかも港も大きい」
幸正は海賊らしくこのことも話した。
「だからな」
「水軍もか」
「展開出来る」
「それにものもだな」
「運べる」
水路、そこからというのだ。
「だから江戸はな」
「手に入れられるならか」
「出来るだけ早いうちにだ」
「手に入れるべきか」
「我もそう思う」
「そうか、ではな」
「江戸の大名にだな」
幸正は英雄に問うた。
「声をかけるな」
「そうする」
こう言ってだった。
実際に英雄は江戸の大名への勧誘をはじめた、具体的に言うと幕府に入る様にだ。すると相手からの返答は。
「入ってもいいがだ」
「いいが、っちゃな」
「条件があると言ってきた」
愛実に答えた。
「それにはな」
「どういった条件っちゃ」
「武蔵一国の領土の確約にだ」
それに加えてというのだ。
「長男だけでなく次男も大名としてだ」
「長男さんが嫡子っちゃな」
「その長男に武蔵を継がせ」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「次男さんもっちゃ」
「大名にだ」
「取り立てて欲しいっちゃか」
「そう言っている」
「そうっちゃか」
「それで俺の考えはな」
それはというと。
「受ける」
「そうするっちゃか」
「長男には武蔵を継がせ」
そしてというのだ。
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