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『外伝:赤』崩壊した世界で大剣豪とイチャコラしながら旅をする
財団-まえぶれ-
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てる方がまだ早い。
間に合わない、撃たれる、
そう思った時だ。

「…!」

男が、銃を手放した。
いや、手放したんじゃない。

「うりゃあああああっ!!!」

ステンノのマスターが石を投げ、ぶつけさせたんだ。
そうして隙の生まれた男にステンノのマスターは全速力でタックルをする。
ガタイのいい体格だ。ぶつかられた男はひとたまりもないだろう。

「ナイス!小太り少年!!」
「小太り少年…!?」

武蔵ちゃんに付けられた謎のあだ名に動揺するステンノのマスター。
あだ名をつけた当の本人はとっくに走り出し、俺が無力化した奴らに駆けていく。

「…斬る!」

一瞬で、4、5人もの男が首や胸から血を吹き出し倒れる。
斬った。全て武蔵ちゃんが一瞬で斬り裂いたんだ。

「…。」

その光景に呆気に取られる。
葛城財団を名乗った男達はバタバタと倒れ、気付けばここら一帯は死屍累々と化していた。
ざっと二十人ほど、これらの殆どを、武蔵ちゃんは斬ったんだ。
それに比べて俺は…。

「一人…逃がした…。」

逃がした…というか見逃した。

「あら、随分と暗い顔をしているのね?」
「…!」

と、自分の弱さに何も出来ず立ち尽くしていると誰かが顔を覗き込んできた。
助けたステンノだ。

「聞いてなんだけど暗い理由はあえて聞かないでおきます。あと、いつまでもそうしていると相方にバレてしまうわよ?」
「す、すいません…。」
「謝らなくていいのよ。感謝されることをしたんだから。」

武蔵ちゃんには聞こえないくらいの小声でステンノはそう囁く。
俺がこうして暗い顔をしている理由は…うん。お見通しみたいだ。

「それよりもありがとう。私もマスターじゃこの場を乗り切れるか心配だったの。」
「…。」
「暗い顔はやめなさい。宮本武蔵のマスターさん。感謝されたのだからあなたは胸を張っていいのよ。」

ステンノはそう言ってくれるが、やはり俺は…甘さみたいなものを捨てきれないらしい。

「ほらマスター、あなたからもお礼を。」
「あ、ありがとうございます…。」
「この無駄に脂肪の付いた身体してるのが私のマスター。まだまだ頼りない人なのだけれどね。」

と、俺の方にやってきた太ったこの男性が、ステンノのマスターなのだという。
あちこち怪我だらけで、立っていられるのもやっとのようにも見える。
しかし、こんな状態になってまで自らのサーヴァントを守ったんだろう。
覚悟の決まった、俺よりもしっかりとした少年だ。

「助けてくれてありがとうございます。えーと…。」
「竜胆 大和だ。それに礼を言うのはこっちの方だよ。あの時キミが助けてくれなきゃ、少なくとも俺は死んでたんだから。」

そう言い、
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