大豪邸
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『頼む! この通り!』
聖杯戦争の監視役がそんな情けない声をラビットハウスに持ち込んだのは、夜のことだった。
「……ごめん、もう一回言ってくれない?」
『人の話を聞けよ参加者は! ったく!』
頭でっかちの白い人形は、ぷんぷんと頭を揺らした。
『運営側からの重要事項説明だぞ! ちゃんと耳クソかっぽじって聞けよ!』
「普段から敵対しているような運営側との関係を忘れてないだろうな、コエムシ。お前が以前俺たちを処刑しようとしたこと、忘れていないんだけど」
ハルトは、その目の前の運営へ吐き捨てた。
聖杯戦争における監視役は、これまで三体現れた。
もっともハルトと接触することが多く。ハルトを聖杯戦争に巻き込んだキュゥべえ。
先日バングレイをマスターにした、ハルトの前に立ちふさがるモノクマ。
そして、今目の前にいる、かつてハルトと可奈美をダークカブトというものに処刑させようとした、コエムシ。
『過去のことをいちいち引きずってんじゃねえよ! ほら、よく言うだろ! 人間誰でも間違いはある! 重要なのは、次に同じ失敗をしないことだって』
「そもそも人間じゃないでしょうが! それに、お前次も何食わぬ顔でこっちに処刑人差し向けてきそうだ!」
『しねえよ! それにこちとら元人間じゃい! なあ、頼むよ! 聖杯戦争の健全なる運営に協力してくれよ! 殺ってくれたら、追加令呪くれてやるからさあ!』
「断る! 大体、何だよお前の依頼!」
すでにラビットハウスはバータイムになり、店主の香風タカヒロがバーに立つ時間。
風呂も終え、いよいよ就寝の時間になり、部屋に入った瞬間にいたのが、このコエムシだった。
「処刑人を処刑しろって、それ参加者に依頼することか?」
『いいじゃねえか! 別に減るもんじゃねえし』
「こっちの命が減るわ!」
コエムシが持ち込んできた話。それは、彼が召喚した処刑人の始末だった。
どうやら彼が召喚した処刑人が、コエムシの言うことを聞かずに街へ出ていってしまったらしい。自由三昧に生きているあいつを処刑してくれ、とのことで、参加者に頼んで回っているそうだ。
『頼むよ。まさかお前らに差し向けようとしたら、勝手に行動するとは思わなかったからよ』
「結局お前の望み通りに俺たちが戦うことになるのかよ。嫌だよ」
ハルトは断り、自室のドアを開ける。
「お前が無責任に呼び出したのが悪いんだろ? それに、そいつ呼び出したの今日じゃないんだろ?」
『うっ……そりゃ、アマゾンの事件が始まる前だけど……』
「悪いことしていなんだったら、俺も戦う理由はないからな」
『そんなの酷いよ! お前は、こんなに可愛い妖精が先輩たちに怒られるのを黙ってみていようというのね!』
「……どこに
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