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おぢばにおかえり
第六十二話 二人乗りその三十二

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「こんなのだから男の子は皆友達止まりでね」
「中学時代もそんなお話なくて」
「どうせ今もよね」
「ちっち浮いたお話なかったでしょ」
「全然ないですね、嬉しいことに」
 何故かこんな返事の阿波野君でした。
「先輩奥手でもあるみたいで」
「滅茶苦茶奥手よ」
「というかそんなことが一番苦手だから」
「もう何が苦手っていうとね」
「恋愛が一番苦手な娘だから」
「君について物凄くよかったかしら」
「よかったかも知れないですね、だって先輩とこうして一緒にいられるんですから」
 阿波野君は物凄くにこにことして友人達に言います、何か私はこの状況に凄く立腹してきました。ですが。
 私はその立腹を抑えて阿波野君に言いました。
「あのね、色々言ってるけれど」
「何ですか?」
「私お付き合いする人は」
「結婚する人ですね」
「その人とだけだから」
 阿波野君にもこのことを言いました。
「もう絶対に」
「結婚詐欺とか気をつけなさいよ」
 お友達の一人が私に言ってきました。
「悪い男には」
「ちっちの周りにはいい人が大勢いて注意してくれるけれどね」
「それにちっちも人のお話聞くしね」
「だから大丈夫だけれど」
「そもそもちっち自身が気をつけてね」
「私も悪い人には気をつけてるし」
 そのつもりです、私自身も。
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