第二章
[8]前話
エスメはエレンそして家族の愛情を受けて育っていった、そして。
まずは目が開き黒目がちの目が出て来てすくすくと大きくなり無事に立てる様になり歩ける様になった。そこから家の中を駆け回って普通にご飯を食べたり自分でトイレをする様になるまではあっという間だった。
それでだ、エレンはエスメを診せた病院に彼女ともう一匹の子猫である白い雄猫、モルトを定期診察で連れて来て話した。
「この通りです」
「元気ですね」
「ニャア」
エスメは明るい声で鳴いた、獣医はその彼女を見て言った。
「最初はです」
「本当にあのままだとですね」
「どうにもならなかったです」
「私が見捨てていたら」
「本当に死ぬしかありませんでした」
エレンにまたこのことを話した。
「ですが」
「私が引き取ってですか」
「育ててくれたので」
そうしてくれたのでというのだ。
「この通りです」
「エスメは育ったんですね」
「そうです、これからもそうしてくれれば」
そうすればというのだ。
「このままです」
「幸せになってくれますね」
「はい」
こうエレンに話した。
「必ず」
「はい、この子も家族ですから」
エレンはもう一匹の猫も観ながら話した。
「モルトと同じで」
「エスメちゃんもですね」
「そうなりましたから」
だからだというのだ。
「もう何があっても離れません」
「そうして下さいね、絆が出来たなら」
「それならですね」
「それを大事にされて下さい」
「それが神のお考えですね」
「ですから」
それでというのだ。
「宜しくお願いします」
「そうさせてもらいます」
エレンも約束した、その彼女の傍では。
「ニャ〜〜」
「ニャ〜〜」
エスメがモルトに身体を摺り寄せモルトも応えていた、二匹は極めて仲がいいことがわかった。獣医はその彼等を見てまた言った。
「猫同士の絆も出来ていますし」
「この絆もですね」
「大事にいていって下さい」
「そうですね、これからも家族で暮らしていきます」
「そうして下さい」
獣医は笑顔だった、そして。
エレンも笑顔だった、彼女は猫達の間ずっとエスメとモルトを見ていた。二匹の猫達は病院の中にいるのでずっと不安で怖そうであったがお互いに寄り添っていた。そしてエレンをいつも見ていた。帰る時は彼女に寄り添い母親の傍にいる様だった。獣医はそんなエレン達を見て自然と優しい笑顔になっていた。
生後一日 完
2021・2・18
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