帰ってきた鬼軍曹
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一瞬の静寂ののち、それは起こった。
「リゼちゃああああああああああん!」
「お、おい! ココア! いきなり抱きつくな!」
猛烈な勢いで、ココアがリゼに抱き着いた。それどころか、リゼに頬ずりまで始める。
「おいココア! よせ! 見られてるだろ!」
「リゼちゃああああああん!」
「お前は相変わらず……離れろおおおおおお!」
リゼがココアの顔面を抑えている。だが、ココアはそれでもぐぐぐとリゼに迫っていた。
もがくリゼを抑えるココアの力に舌を巻きながら、可奈美はチノへ目線を移した。
「やっぱりチノちゃんたちの友達だったんだね」
「はい。リゼさんは、可奈美さんたちが来る前のここのバイトです。でも、連絡してくれてもよかったのに」
「いやあ。折角だから驚かせようと思ってな。知らない間に新しいバイトも入ったんだな。でも、制服は私のじゃないんだな」
リゼがココアを抑えたまま、可奈美の制服を見つめる。
可奈美のものは、ラビットハウスの赤い制服。紺色のものはサイズが合わないわけではなかったが、せっかくだからと店主である香風タカヒロが用意してくれたものである。
「ねえ、リゼちゃんはいつまでこっちにいられるの?」
ようやく抱き着くのを諦めたココアが、リゼの隣に座りながら尋ねる。リゼはにっこりと笑いながら、
「今年いっぱいはいられるぞ。一月の頭までだな」
「そっかあ。じゃあ……」
その刹那、ココアの目が鋭くなる。
それは、今にも飛び掛かろうとする猛獣のようで。
あ、と可奈美はここからの顛末を察した。
「リゼちゃんと離れ離れだった分、いっぱいモフモフするよ〜!」
「お前は相変わらずそれかあああああああああ!」
「お前もやられたか?」
もはやココアを止めることを諦め、なすがままにモフモフされるリゼは、机を拭く可奈美へ尋ねた。
「うん。もう慣れてきて、だんだんこういう挨拶かなって思うようになってきたよ」
「そうかそうか。まあ、仲良くしてやってくれ。チノも、素直じゃないだけで、本当はかなりの寂しがり屋だからな」
「リゼさん……」
「おおっと……」
店の奥から、ラビットハウスの制服に着替えたチノがジト目で見つめている。頭にはアンゴラウサギのティッピーを乗せており、いつものラビットハウスでの従業員スタイルだ。
リゼは悪戯っぽく笑いながら、チノに手招きする。
「あ、ココア。少し離れろ」
「ええ〜」
「いいから」
「むぅ……」
ココアは頬を膨らませながら、リゼを掴んでいた手を離す。
「ねえ、リゼちゃん! 留学どうだったの?」
「そうです、私もそれが聞きたかったんです!」
ココアが再びリゼに顔をぐいっと近づける。
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