帰ってきた鬼軍曹
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「みんな! 帰ったぞ!」
そんな声が響いたのは、そろそろ見滝原がアマゾンのショックから立ち直ったころ。
ラビットハウスの入り口に、見覚えのない少女がいた。
黒いツインテールの少女。発育のよい体と逞しい四肢。白と紺のストライプの服が特徴で、丸い目つきながら、とてもエネルギッシュにも思えた。
予期していた顔がいないのか、彼女は目を丸くしてラビットハウスを見渡していた。
「あ、あれ……?」
「いらっしゃいませ……ですよね?」
可奈美は躊躇いがちに言った。すると少女は、少し恥ずかしそうに「あ、ああ。そうだ」と頷いた。
「どうぞ」
「失礼する」
少女は、現時点での唯一の客である。テーブル席を案内し、水を出すと、少女は「ありがとう」と礼を言い、水を飲んだ。
「えっと……お客さん、もしかしてよくここに来ていたんですか?」
すると少女は頷いた。
「ああ。前までここでバイトしていたんだ。夏休みくらいから留学でやめて、年末だから帰ってきたんだよ。その……すまないな。変なところ見せた」
「ううん。全然」
可奈美は少女の向かいに座る。
「もしかして、チノちゃんとココアちゃんに会いに来たの?」
「ああ。今はいないのか?」
「まだ学校から帰ってきてないから。今日はたぶん寄り道しているんじゃないかな?」
「ああ、想像がつくよ」
リゼは微笑した。
「どうせまたシャロのクレープ屋だろうな。なら、少し待たせてもらおうかな。シャロもどうせ連れてくるだろうし」
「ねえ、じゃあそれまでの間、チノちゃんとココアちゃんがどんなだったか教えてくれない? 私もここで色々とお世話になってるし」
「ああ、いいよ」
可奈美は喜んで、「あっ」と思い直す。
「自己紹介してなかったね。私、衛藤可奈美。よろしくね」
「天々座理世だ。リゼでいいよ」
「リゼちゃんだね」
可奈美は頷いて、リゼの話に耳を傾けようとする。
だが、リゼが話す前に、入口より「ただいま〜」という声が聞こえてきた。
「可奈美ちゃん、遅れてごめんね〜。ちょっとフルールに行ってたから遅くなっちゃった」
「だから言ったじゃないですか。どうしてシフトが入っている日まで寄り道するんですか」
「いいじゃん。ちょっとシャロちゃんとお話ししたかったんだもん」
「シャロさんだって今日は仕事ですよ? 全く。千夜さんも一緒に悪ノリしますし」
ココアとチノ。二人の姿を見て、可奈美は手招きした。
「二人とも。こっちこっち」
「どうしたの可奈美ちゃん?」
「お客さんですか?」
そして、可奈美のもとに来た二人は、腰かけているリゼの姿に固まった。
「よ」
気さくなな挨拶をするリゼ
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