春谷舞は愚痴りたい
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「はぁ〜疲れた〜。師匠の特訓は相変わらずハードだよ〜……」
「だけどその分、身になるだろ?」
「まあ、そうなんだけどね〜。師匠の特訓受けた夜のご飯、いつもより美味しく感じるもん」
「君らしいな。じゃあ、今夜は豚のしょうが焼きでも作るか」
「わーいやったー!ありがとう翔くんッ!」
シミュレータールームから出て来た翔と響は、休憩スペースへと歩みを進める。
「翔様、響ちゃん、お疲れさまです」
そこへ、一人の女性職員が声をかける。
金髪をサイドテールにした青い瞳の彼女は、翔と響にスポーツドリンクを手渡した。
「春谷さん!ありがとうございます」
「ありがとうございますッ!」
「では、私はそろそろ定時ですので」
「お疲れ様です!」
翔に向かって頭を下げ、その場から去っていく春谷。
「お疲れ様ですッ!……って、あれ?春谷さん、翔くんの事……」
そこでようやく、響はそれに気が付いた。
「ああ。春谷さんは緒川さんと同じ、飛騨忍者の一族なんだ。俺が高校に上がるまで、身の回りの世話をしてくれてたんだ」
「そうなの!?」
「気になるなら、緒川さんに確かめてくるといいよ」
「へ〜……翔くんのお世話係さん、か……」
春谷の背中を見つめる響。
スマートにスーツを着こなすその後ろ姿は、同性の響から見ても綺麗だ。
「もしかして、妬いてるのか?」
「そっ、そんな事ないよ!?」
「冗談だよ。でも、安心して欲しい。春谷さん、好きな人居るらしいから」
「分かるの?」
「まあ……何となく、な」
そう言って翔は、歩き去って行く春谷の背中を、何処か心配そうな顔で見つめていた。
ff
私……春谷舞が緒川慎次を意識するようになったのは、いつからだろう。
この問いに対する解を得るために、皆様には少々のお時間をいただきたい。
では、一つ一つ確かめていくことにしよう。
私と彼は幼馴染、と広義的に認識されるに相応しい関係だった。
であるならば、その感情が少なくともここ数年間の話で収まらないことは確か。
そしてある意味、私がそのような位置付けになるのは必然とも言える。
慎次様は代々風鳴家に仕える緒川忍軍、その頭領の直系の血筋の次男坊である。
そして私は緒川忍軍の構成員の一部、いわゆるくノ一と呼ばれる部隊に属する身分。
現代にまで残る忍であるからには、構成員の方もそれなりに代々……ということになる。
緒川の家が風鳴に仕えるならば、春谷家は緒川にその身を捧げる一族。
つまり私は、生まれながらにして緒川忍軍の一人としての役割が決められていた。
必然、将来諜報員や工作員として活動するために幼少から訓練に明け暮れた。
その中で、私は慎次様と
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