始まりから夏休みまで
神父は決まって悪いやつって話
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きながら話し合ってはいるがこうしてここに来るまでは全員一言も喋らなかった。
「キルケー。」
「ああ、やっぱり変だ。」
未だ謎の残る教会。
みんなが感じていた、謎の気配。あれはなんだったのだろうか。
「でも俺、あそこには長くいられない気がする。なんか…狂うっていうの?おかしくなりそうなんだ。」
「実際…そうだな。それが恐ろしくて俺達はこうして逃げるように帰ってきたわけだ。」
調査をしなければならない。
けど、友作くんや暮馬くんはそれを断念した。
あそこに長くいるとおかしくなりそうだから。
例えがたい何かが自分を侵略し、正気が保てなくなる。
不気味さを感じさせるあの教会は、出来れば二度と行きたくない。
それが友作くんと暮馬くんの正直な感想だった。
「お前は何ともないのか?」
友作くんが振り向き、僕の心配をする。
「うん。そういうのも何も感じなかったんだ。友作くんや暮馬くんみたいに、怖いとも思わなかった。それとは逆に…」
「逆に?」
「ううん…なんでもない。ごめん。」
あそこには恐ろしい何かがある。
キルケーはそう言っていた。
人間達は恐れをなし、サーヴァントすら畏怖する謎の教会。
そして思わず僕は言いそうになったけど、止めた言葉。
みんなはあそこが怖いって言ってたけど、
何故か僕は逆に、どこか安心感を抱き落ち着く場所のような気がした。
「ともかくだ。キルケーの調査でこの町には俺達以外にもサーヴァントがいることが分かってる。引き続き調査をしよう。」
「うん。調査を進めれば、あの教会の正体もわかるかもしれないからね。」
友作くんとキルケーがそう言う。
話題を変えた、と言うべきか。
ともかく全員は、一刻も早くあの教会のことを忘れたいのだろうということは感じ取れた。
「…。」
「腕は大丈夫なのかい?」
「うん。全然痛くない。何でかあの神父に撫でられてから、変に調子がいいんだ。」
いつの間にか感覚が戻りつつある右手を優しく撫でながら、僕は思う。
あの神父は、
本当に何者なんだろうと。
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