始まりから夏休みまで
神父は決まって悪いやつって話
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「ねぇ、お栄ちゃん。」
「ん?」
「そいつって、すごく背が高くて、肌は黒くて、神父さんみたいな人じゃなかった?」
「…。」
少し黙るお栄ちゃん。
僕の右腕をじっと見つめてから、彼女はこちらに改めて聞いてきた。
「…神父ってのは知らないが…まさかマイはそいつに会ったのかい?」
「うん。最初は優しそうな人だなぁって思ったけど、いきなり変なこと言われて僕も少し嫌な気持ちになったよ。」
「ああそうだ。張り付いた気味の悪い笑顔を浮かべながら縁起でもねぇことをサラッと言いやがる。間違いねぇ!その神父サ!」
どうやら同一人物みたいだ。
とはいえその神父は、何故僕だけでなくお栄ちゃんまで知っていたのか?
そしてお栄ちゃんが言われた台詞。
「お前のますたあはどうだとか」
マスター。つまりは、神父はサーヴァントとマスターという関係性を知っているのだろうか?
とすると…あの神父は?
「マイ?」
「あ、ああごめん!」
少し考えすぎていたみたいだ。
お栄ちゃんが顔を覗き込んで心配そうな表情で見ている。
「そんなことよりも行かなくちゃ。お栄ちゃん。」
友作くんに集まるように言われていたことを思い出し、僕はベンチから立ち上がる。
「…っ。」
立ち上がる際、ズキリと右腕が痛む。
思わず声を上げそうになったけど、お栄ちゃんに余計な心配はかけさせたくないからそこは我慢した。
「一旦家に帰ろう。それから準備して自然公園に行くんだ。」
「面倒臭いが…分かった。マイがそうしろってんならおれも行くヨ。」
?
「良し、全員集まったな。」
螺歩蔵町にある自然公園。
公園と言うよりかは花壇と噴水のある広場という感じで、普段は遊ぶ子供達や散歩途中の老人などが立ち寄る憩いの場であるが、さすがに夕方近くになるとそれもまばらだった。
そして僕がやってきた時には既に、友作くんも暮馬くんも到着していた。
僕が最後だ。
「で、怪しげな気配がする教会ってのはどこなんだい?」
「ああ、それのことなんだけどね。ついてきてくれ。」
開口一番、お栄ちゃんがキルケーに尋ねると彼女は歩き出す。
ここから少し歩いたところにあるらしいが、町のガイドマップや検索サイトで調べてみても何も無かった。
本当に町外れに教会は、あるんだろうか?
「桐生の件以降、実は様々な場所でサーヴァントらしき反応が感知されたんだ。」
「じゃあ…その教会も…。」
「サーヴァントの住処になっている?と言いたいのかい?」
しかしキルケーはここで、首を横に振った。
「残念ながらそれは違うよ。確かに町からサーヴァントの反応はある。でもね、今から訪れる教会。そこからは明らかに違う"何か"が感じ取れたんだ。」
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