暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第101話『予選F』
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中にいる彼には届くはずもなく。遠慮のない激流は次第に晴登を空へと押し上げ、そして解き放った。


「ぶはっ! また着地かよ!」


ようやく水から解放されたかと思えば、地面からは随分と離れてしまっていた。何だか最近、こんな展開が多くなっている気がする。高所からの落下なんて恐ろしいはずなのに、正直もうかなり慣れてきた自分の方が恐ろしい。
濡れた顔を腕で拭いながら、晴登は風を使って安全に着地を──


「よいしょ……ごぼぉ!?」


とはいかず、着地した瞬間、再び足元から噴水が起きたのだった。しかも着地で気が緩んだせいで、水流も相まって、今度は思い切り水を飲み込んでしまう。


「ごぼぼ……!」


為す術なく水に呑まれた晴登は、再び上へと運ばれる。水中で呼吸などできる訳もなく、酸素不足で徐々に身体の力が抜けていくのを感じた。

油断した。苦しい。溺れることがこんなに辛いなんて。
そのうち、外に打ち上げられることはわかっている。しかし、この状態で着地できる余力はなかった。


「……げほっ!」


晴登は宙へと投げ出された。だが、意識が朦朧としており、視界もままならない。未だに水中にいる気分である。

マズい、身体に力が入らない。着地をしなければいけないと頭ではわかっていても、身体が言うことを聞いてくれないのだ。

このまま地面に落ちれば大怪我は免れまい。何てことだ。まさか、こんな所でリタイアしなければいけないというのか。そんなのダメだ……!


誰か、助けて──







「これで3周目……!」


色とりどりだった水晶が透明色に戻ったのを見て、結月は汗を拭いながら呟いた。
3周目、というのは言葉の通り、これで的が2回のリセットを終えたということだ。1回目のリセットよりは時間がかかったが、それでもまだ競技時間は約半分残っている。あと1、2回はリセットされるだろう。


「でも、さすがにキツい……」


というのも、ここまでほぼ魔術を撃ちっぱなしなのだ。いくらタフな結月と言えど、これには疲労の色は隠せない。
言わずもがな、他の人ならなおさらである。その証拠に、皆の的を撃ち抜く速度が競技開始時と比べて格段に落ちていた。


「それに、あの人どうしようかな……」


そう呟きながら空を見上げる結月の視線の先には、鳥の様な翼をはためかせながら宙を舞う少女がいた。
遠くて顔はよく見えないが、被っているスポーティな帽子には見覚えがある。そう、それは開会式の時──


「マイさん……だっけ」


結月の記憶が合っているならば、あれは【花鳥風月】の一員、小鳥遊 舞に間違いない。どんな能力(アビリティ)かは知らなかったが、見た感じ『両腕を
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