装者達のバレンタインデー(2021)
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さんも僕と同じ立場なんだ。
そう思うと、少しだけ安心した。
「わたしのチョコ、受け取ってくれるかな?」
そんなの、決まってる。
僕は、恥ずかしそうに伏せられた未来さんの目をしっかり見つめて、一言ずつ、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「勿論だよ。未来さんからのチョコレート、楽しみにしてたんだ」
「ッ……よかった。じゃあ……」
「未来さん……チョコレート、欲しいな」
「ふふっ、はい、どーぞ♪」
背中に隠していた紙袋を渡され、安堵の表情を見せる未来さん。
「早速開けてもいいかな?」
「うん。いいよ」
箱のリボンを丁寧に解いて、中身を確認する。
中には、丸い球状のチョコレートがいくつも入っていた。
おそらく、何かをチョコレートでコーティングしたものだろう。
「これは……?」
「中にマロングラッセが入ってるの」
「へぇ……お洒落だね」
「初めて作ったから、ちょっと自信ないけど……」
なるほど。だから不安そうだったんだ。
「未来さんが作ったんだもの。きっと大丈夫だよ」
「そうかな?」
「そうだよ。そんなに心配なら、一緒に食べる?」
「え……ッ!?」
未来さんの顔が一気に赤く染った。
可愛い……。僕の彼女、今すごく可愛い!
「いいよね?」
「恭一郎くんがいいなら……」
「決まりだね♪」
箱を閉じ、紙袋に戻す。
そして僕は……未来さんの手を握った。
未来さんも何も言わずにぎゅっ、と握り返してくれる。
「今夜の夕飯は僕が作るよ。チョコレート、作るの大変だったでしょ?」
「あ、ありがとう……。でも、それでお返しってのはダメだよ?」
「当たり前だよ。ちゃんと三倍返しにするから、期待してて」
「三倍返し……かぁ……。ふ〜ん、それじゃあ期待しちゃおっかな〜♪」
何やら少しだけ余裕を取り戻した笑みになる未来さん。
この後、僕はバレンタインに贈られるマロングラッセの意味を知り、どうすれば3倍に出来るのかを悩む事になるんだけど……。
それはまた、一ヶ月後の話だ。
ff
世界を、人々の平穏を脅かす特異災害に、日夜立ち向かい続ける人類の砦。特異災害対策機動部二課。
その本部では今……異変が起きていた。
いや、異変と言ってもあまり大したことではない。
ただ、これがいい歳した大人達の残念な姿である事を、予め伝えておいた方がいいだろう。
「チョコ……チョコぉぉぉ……」
「チョコレート……欲しい……」
「ギブミー……チョコレートォ……」
2月14日、バレンタインデー当日。
二課の発令所では、数名の男性職員がチョコを求めてゾンビのようになっていた。
「周りは皆チョコ貰ってるのにさぁ……俺達貰えない組は辛
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